女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝(11月24日・宮城県開催)の予選会であるプリンセス駅伝が10月20日、福岡県宗像市を発着点とする6区間42.195kmのコースで行われる。30チームが参加し、上位16チームがクイーンズ駅伝出場資格を得る大会。注目チームの1つが創部5年目の東京メトロだ。上杉真穂(29)、小笠原朱里(24)、佐藤奈々(35)ら実績のある選手が昨年以降に加入。東京地下鉄株式会社(東京メトロ)が設立されて20周年の今季、初出場の機運が盛り上がっている。

駅伝をステップにマラソン代表選考レースに挑む上杉真穂

1区(7.0km)の可能性もあるが、エース区間の3区(10.7km)は上杉が任されそうだ。高校時代は無名選手だったが、22年にマラソンで2時間22分29秒をマークし、日本代表を狙えるところまで成長した選手である。昨年のMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ。パリ五輪代表3枠のうち2人が決定)で11位と敗れた後は、パリ五輪は断念して弱点だったスピードの再強化に取り組んだ。

2月の丸亀国際ハーフマラソンは1時間09分24秒の自己新で6位。トラックで何度も日本代表になった鈴木亜由子(33、JP日本郵政グループ)に次いで日本人2位と好走した。「そこまでハーフの練習はしていなかったのに」と中村悠希監督。前所属時代を含め、上杉に10年以上関わってきた指導者の感想だ。

5月のリスボン・ハーフマラソンは暑さに苦しめられ、1時間13分05秒の13位。7月のトラックレースも、直前に新型コロナに感染した影響で平凡だった。良くない流れは9月のシドニー・マラソンでも変えられず、2時間29分18秒で6位。10kmから単独走になってしまった影響もあったという。

試合に合わせられない失敗が続いているが、「丸亀の後も良い練習はできている」と中村監督。「シドニーに向けて一度しっかりと(長い距離の)練習をしたので、駅伝でもう一度スピードを入れて、冬のマラソンに合わせて行きます」

来年の東京世界陸上が大きな目標になる。参加標準記録は2時間23分30秒で、日本の女子トップ選手にとっては難しくない。来年1月の大阪国際女子マラソン、3月の東京マラソンと名古屋ウィメンズマラソンが選考競技会。その3レースで標準記録を破った選手から、東京世界陸上代表は選ばれる可能性が高い。

「上杉本人は2時間20分30秒が見えているようです。タイムも順位も、文句が出ないような走りをしてほしいですね」駅伝初出場を狙うチームにとって、1つ上のステージで戦うエースの存在は頼もしい。