■今の円安は“理由のある円安” ポイントは「金融政策の差」
ーー"悪い円安では"という声については?
悪い円安ではないと思う。理由のある円安ですから。アメリカと日本の金融政策の差によって円安になっているので。日本売りということで、円安になっている訳ではないので。日本売りで、日本経済がおかしいということで、いろいろな投資家が日本円を売ってくることで円安になるということであれば、悪い円安ですけど。いまの円安は、日米の金融政策の差によって起こっているので。理由のある円安ですから、決して悪い円安だとは言えない。
ーーでは"悪い円安"とは?
悪い円安とは「日本売り」ということです。日本経済が悪くなって、日本の円を売るということが起こったとき、これは日本売りなので悪い円安。いまはそういう状況ではない。
ーーこの状況が続いていけば1ドル160円、180円の可能性がある?
いまのマーケットの予測では、2022年の末までには160円になるといっている。その状況がさらに続けば、2023年の末には180円ぐらいになるというのがマーケットの予測。日米の金融政策の差がこのまま継続することが予想されている。そうなると、円安がさらに進むという予測が実現する可能性はかなり高い。
ーー160円、180円になったとしても介入の可能性はない?
おそらくアメリカは合意しないです、介入はできないですね。ですから日本がとれる政策としては、金融政策の変更というのはありえますが、為替介入というのはない。
ーー日本ができるのは「金利を上げる」という手段だけ?
唯一というか、それが基本的な手段ですね。日本経済が過熱してきて、インフレが加速するような状況になったときには、金融引き締めをやると。金融を引き締めれば円高になりますから、それで今の円安が逆転して円高になることは十分に考えられる
ーー「金融引き締め」はするべき?
黒田総裁はしばらく金融緩和を続けると言っているので、それは正しいと思う。いますぐ、引き締めるような状況ではないと思う。ただ今後、経済が過熱してインフレ率がある程度高くなって、成長率もいままで平均1%だったのが2%、3%になって経済の過熱が具体的になったとき、金融引き締めがあり得ると思う。
2023年の末とか、2024年のはじめにはそういうことが起こる可能性は決して低くない。