何かを感じることができる作品を作りたい

――ドラマ制作に携わる松本さんにとって、ドラマとはどういう存在でしょうか?

以前と今では全く違う気がします。最近は、自分が娯楽として見るときは、日常生活から得られない涙や喜びやキュンキュンする気持ちを得ようと見ている感じがあって。一方で、作り手としては、入社したときからブレていません。何かメッセージを発信したいというおこがましさはないのですが、観てくださった方が何かを得られる作品を作りたいという気持ちはあって。やはり、私がいるのは報道機関でもあるテレビ局。社会の切り取り方には様々なアプローチがありますが、そのなかで、ドラマというジャンルで社会で感じることを表現できる作品を制作したいという気持ちが強いんです。実は私、金曜ドラマのプロデュースは初めてなので、この枠でどんなことができるのか、そこは楽しみの一つです。

――では、この作品が社会にどのように受け止められたら良いなと感じますか?

今回の物語は、家族ときょうだいの愛と絆が変化していく様を描くヒューマンサスペンスです。いろいろなキーワードがありますが、<変化>がとくに大事なのかなと思います。人生、うまくいくことだけじゃないし、後退することもある。そうやって、波があることが変化だと思うんですね。そして、その波のなかで<掛け違い>が起きないように生きていく。キャストの皆さんもそうですが、このフレーズがみなさんの心にふっと入っていくのは、誰もが掛け違える状況になることがあるからなんだと思います。そういう意味で、<愛>を広くとらえることができるドラマになるのではないかと思っています。

さまざまな愛の形があり、その愛が掛け違わないようにコミュニケーションを取ることが大事だと語ってくれた松本プロデューサー。そのコミュニケーションによって紡いだ絆が1つの作品を作る基盤となっていることは確か。そして、ただ巻き込まれていくだけでなく、時代に合わせて柔軟に変化していくことで、新たな愛の形を見つけることができる作品になるだろう。コミュニケーションツールが発達する一方、他者とのかかわりが希薄になりがちな昨今。『ライオンの隠れ家』には、あらためて身近な人との関係を見つめ直すヒントが<隠されて>いるかもしれない。

自閉スペクトラム症の弟がいて、そんな彼を大切に思う兄がいる。そんな彼らを取り巻く周囲に起こる様々な出来事──。そこにはさまざまな愛の形があり、その愛が掛け違わないようにコミュニケーションを取ることが大事だと語ってくれた松本プロデューサー。そのコミュニケーションによって紡いだ絆が1つの作品を作る基盤となっていることは確か。そして、ただ巻き込まれていくだけでなく、時代に合わせて柔軟に変化していくことで、新たな愛の形を見つけることができる作品になるだろう。コミュニケーションツールが発達する一方、他者とのかかわりが希薄になりがちな昨今。『ライオンの隠れ家』には、あらためて身近な人との関係を見つめ直すヒントが<隠されて>いるかもしれない。