働き手のニーズに合わせて多種多様になった「スーツ」。
その起源は、16世紀のイギリスといわれ、日本では明治時代初期から徐々に広まったとされています。

そして本宮市にも、スーツを作り続けてきたお店が。
それが、118年続く老舗「佐藤洋服店」です。

まだ和装が主流だった1906年、自衛隊や警察、鉄道関係などの制服を手がけていた「東和(とうわ)グループ」が、これからは洋服の時代が来ると「佐藤洋服店」をオープン。

以後、「東和」と名前を変え、制服やスーツの縫製工場として大きくなりました。

そして、2019年。
創業時の「佐藤洋服店」を、オーダーメイド専門店として復活させたのです。

---佐藤社長「昔は(福島県は)全国で3番目くらいに繊維従事者が多い件だったんですけど、今は10分の1くらいまで減った。これからどうやって生き残って行こうかという中、昔に戻って注文洋服のような、直接お客様に販売する形に。」
店内には、生地や大きさの異なるサイズ見本がずらっと並びます。
ここから、袖の長さや肩幅などを調整して、お客さんの体型にフィットするスーツをあつらえています。
着心地へのこだわりは他にも。

---佐藤社長「イタリアの素材は結構良い。売りたい・売ると思ったら『反(たん)』で買ってる。コストも抑えられる。」
一般的なスーツの相場が5万円ほどのところ、「佐藤洋服店」では良質なイタリア生地を使ったスーツを、およそ7万6千円からオーダー可能なんです。

---佐藤社長「直販することにより流通がシンプルに。儲けようというよりも現場を維持しようと。」
同じ敷地内にある工場では、高度な職人技を要する「総毛芯仕立て(そうけじんじたて)」という手法で仕立てられています。

上下1着分に要する工程数は、およそ450。

その中で、欠かせない工程の1つが「アイロン」です。

体型にフィットするジャケットにするために、一つ一つ丁寧にアイロンをかけています。
かける前と比べると、立体感に大きな違いが。

さらに、ボタンを付けるのも手作業です。
そうすることで、取れにくい丈夫な仕上がりに。
スーツを長く愛用してほしいという想いが込められています。

こうして作られるスーツのほかにも、足の大きさや幅など、自分の足に合わせてオーダーできる「シューズ」や、袖や襟の形など好みで組み合わせられる「シャツ」もオーダーメイドできます。


そんな「佐藤洋服店」が、2021年に新たに始めたのが「レディーススーツ」の展開です。

---佐藤社長「迷いよりも危機感。同じことをずっとできれば最高、しかし時代は進化する。現場の現状とバランスを取りながら『一歩一歩進化していく』。」
洋服の先駆けからレディーススーツの展開まで、時代とともに進化し続けてきた「佐藤洋服店」。
更なる進化を求めて、今後は、海外にも展開していきます。

『ステップ』
https://www.tuf.co.jp/general?id=147
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年10月3日放送回より)