こども世代に伝えるオーバードーズの恐ろしさ
東京・中央区の「越前堀薬局」の薬剤師・犬伏 洋夫さんは、若い世代に広がるオーバードーズの恐ろしさを小学校の「薬物乱用防止教室」で伝えています。
最近では、市販薬の過剰摂取が薬物依存の入口になっていると危機感を募らせました。

「越前堀薬局」の薬剤師・犬伏 洋夫さん
「薬物をやっているいわゆる依存症患者の中で、『市販薬がゲートウェイ(入口)になっている子が7割』というデータが出ているんですね。それがもう年々上がってきているんですよ。2014年のデータから2022年のデータまでチェックをすると、最初2014年の段階では市販薬っていうのはゼロだったのが、2年ごとに倍々に今増えてきているんですよね。結局それは市販薬がゲートウェイになったっていうだけで、そこから先いろんなものに手を出しているっていう子も非常に多いようなので、そのはじめの一歩をやっぱり止めなきゃいけないっていうところですね」
犬伏さんが講師を始めた15年前、「薬物乱用防止教室」でこどもたちに伝える内容は覚醒剤、麻薬、シンナーなどだったそうです。
そこから徐々に危険ドラッグへ代わり、今では市販薬の話へと、時代とともに伝えるべきことが変わってきていて、毎年内容を変えているそうです。
犬伏さんは、こどもたちから寄せられた感想でハッとしたことがあると話しました。

「越前堀薬局」の薬剤師・犬伏 洋夫さん
「1人ずつメッセージカードみたいなのをくれるんです、授業が終わった後に。本当に単純に怖いっていうことを書いてくれる子が一番多いんですけど、一番心に残ってるのが、『薬は車と一緒で、うまく使えば、人を生かせるけど、人を殺すこともある』みたいなことを書いてくれた子がいて、それを聞いたときにやっぱり怖い怖いだけを伝えていては駄目だなってはっとして、いいところもあるし、その有用性と悪いところをバランスよく伝えてあげなきゃいけないなって思ったんですよね」
悩み事を抱えている人が、薬に逃げるのではなく、周りの人にその声を聞いてもらうことや、 全国にあるダルクや各地の相談窓口などで気軽に話せる環境づくりが解決の第一歩だと感じました。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:久保絵理紗 (TBSラジオキャスター))