ハマスとの関係は?

ヒズボラは対イスラエル闘争が最大の柱であるため、パレスチナの対イスラエル闘争も当然、支援してきました。
去年10月、ハマスがイスラエルに越境攻撃を行い、イスラエルがガザに報復攻撃を始めると、ヒズボラもイスラエルへの砲撃を繰り返しました。

ただ当初、その多くは、「連帯を示す」程度に抑えられていて、本格的な衝突は避けたい、という意向が透けて見えていました。これは過去のガザ紛争の際も同様で、ヒズボラがハマスのために正面からイスラエルと対決することはありませんでした。

なお、ハマスとの関係はシリア内戦を巡って微妙になったこともあります。

シリアも反イスラエルの立場であり、ハマスはシリアの首都ダマスカスに政治部門の拠点を構えていました。しかし2011年にシリアで内戦が始まると、ハマスはシーア派に近いアラウィ派のアサド大統領側ではなく、主にスンニ派の反体制派を支持しました。ハマスはもともとスンニ派の政治運動であるムスリム同胞団が母体です。また、シリアの現バシャール・アサド大統領の父親ハーフェズ・アサド前大統領はムスリム同胞団を弾圧した経緯もあります。

これに対してヒズボラはアサド政権側で参戦しました。アサド政権を支えたいイランの意向があったのは明らかです。

アサド政権と対立したハマスは政治部門の本部をダマスカスからカタールのドーハに移しました。しかし2020年代になってハマスは、ヒズボラの仲介でアサド政権と関係修復に動きました。ここでもイランの意向が働いたと見られます。