沖縄を「見て見ぬふり」の日本 米兵事件なんて知らない?

金平キャスターは長年、沖縄を取材し続けてきた。
一つのきっかけは、今から57年前に作られた沖縄の宮良芳さんという女性が、東京・渋谷で沖縄についてインタビューをしている番組をみたことだった。

宮良さん
「私、沖縄から来ましたが、沖縄に米基地があることをどうお考えですか」
街の人
「やっぱり、なんていうか、おかしいと思います」
「ただおかしいというよりか、それに対する日本の態度がおかしいですよね。アメリカの(基地)があるということではなくて日本の態度。両方の国の態度がおかしい」
「私はあるべきじゃないと思っているから」
(※1967年10月放送 TBSドキュメンタリー番組「マスコミQ」)

それから31年後の1998年。金平キャスターは「沖縄の基地なんか知らない」という特集を制作した。宮良さんと一緒だった。少女に対する事件があり、関心も高まっていると思い込んでいた。
宮良さん「私は沖縄から来たんですが、沖縄のこと知っていますか?」
街の人「沖縄、海が、サンゴ礁がある」
宮良さん「基地が置かれているというのはなんでか、法律のことわかる?」
街の人「…」
宮良さん「あなたにとって沖縄はどういうところ?」
街の人「別に」
金平キャスター「沖縄にその基地がある理由は何だと思いますか?」
街の人「南にあるし、他の国々に近いじゃないですか。何となく日本と離れているじゃないすか」
(※1998年3月放送 「筑紫哲也NEWS23」)

1998年3月放送の 「筑紫哲也NEWS23」。筑紫哲也キャスターの名物コーナー多事争論で筑紫さんは、本土の国民の沖縄への「無知」「無関心」「無感動」という3つの「無」が沖縄の変わらない状況をもたらしていると怒りをあらわに語っていた。

筑紫哲也さん
「沖縄の問題が沖縄だけの問題だけではなくて、私たちの国、社会、私たちみんなの生き方、あり方を問うてるという点であります、誰かを踏みつけにして自分たちの都合のために、それを見て見ぬふりをしている国がろくな国になるはずがない」

宮良さんは3年前に100歳で天寿を全うした。もう二度と、一緒に渋谷で街の人々にインタビューをすることもできなくなった。
金平キャスター
「僕も年を取ったんですけど、宮良さんの思いをなんとか引き継いで伝えていきたいと思います」