経験を“支援”に 災害時への“備え”訴え

2014年、大森さんは患者会「LFA・食物アレルギーと共に生きる会」を立ち上げた。会員は重度のアレルギーの子どもたちや家族140世帯。活動は年々忙しくなっている。

活動は多岐にわたる。

例えばエピペン講習会。エピペンは、急激なショック症状が起きた時、呼吸困難などを一時的に和らげる注射器だ。異変を感じた時、自分で注射を打てるように講習会で練習を重ねてもらう。

また、協力してくれるレストランに依頼し、アレルゲンを除いた料理を並べる特別な「ビュッフェ」の会を毎年、秋に催している。アレルギーのある子どもたちや家族にとって「ビュッフェ」は憧れだ。自分で食べたい料理を気兼ねなく選んで食べる。当たり前に思えることが、とても特別なことなのだ。

参加した男の子
「100年くらい前から楽しみだった!夢の中でも出ていた」
お母さん
「ママ、オムライスって何って聞かれて、意外なものを知らないんです」

食物アレルギーの意外な盲点が「災害」だ。2018年、西日本を襲った平成最悪の集中豪雨。被災地に救援物資を運ぶのも難しいなか、広島県三原市にいる患者会の代表が、あるメッセージを、SNSで発信した。

『市は、アレルギー対応食品は備蓄していないようで個人の備蓄も底をつきそう、配給されているのは、水とパンですが、アレルギー児は食べることができません』

大森さんは、すぐ、支援に動いた。

大森さん
「子どもがアレルギーで食べるものがなかったらどうしよう、どれだけ困るんだろうとSNSを使って寄付金を募集しました。1週間で90万円弱が集まって、商品を買い集めて被災地に送りました」

食物アレルギーがあると“災害弱者”になってしまう…。大森さんは全国の患者会と協力して災害時のハンドブックを作り、備えの大切さを訴え続けている。