被災直後に観た舞台が励みに…26歳のプリンシパル・ソリスト
子どもたちにも見てほしい今回の作品。主役のマーメイドをつとめるのは、Kバレエ入団3年目のプリンシパル・ソリスト、岩井優花さん(26)です。

4歳からバレエを始めた岩井さんは、16歳でアメリカにバレエ留学しプロダンサーに。プロへの憧れを抱いたのは、2011年に、ある舞台を観たのがきっかけでした。

中学生の時に地元・岩手を襲った東日本大震災ー。
岩井優花さん(26):
「通ってたバレエ教室が沿岸に2教室あったので、教室が流されたり、被害が本当に酷くて」
震災から2ヶ月後、被災地の岩手で公演されたのがKバレエの「ロミオとジュリエット」でした。ロミオ役を演じていたのは、熊川哲也さん。

岩井さん:
「衝撃でしたね、初めてあのジャンプと踊りを見た時は。被災した直後だったからこそ、Kバレエが来て公演してくれたことが励みになったというか、すごく幸せだった」
Kバレエを観たことで、バレエに対する熱量も変化。一人で夜中まで練習を続け、バレエのためには“頑固”になることもあったといいます。

母・文枝さん:
「1回学校に呼び出しをされて(笑)。先生から『娘さんに駅伝を走らせて欲しい』と。足が速かったんですよ。でも本人にどれだけ言っても『体型が変わってしまうからバレエのためにやらない』って。先生にすみませんと謝りに行った」
本気でバレエに打ち込む娘を見て「全力で応援しよう」と決めた母・文枝さんは、整体療術師の資格を取得。娘をいつでもサポートできるよう自宅に治療用の機械も導入しました。

母・文枝さん:
「優花の公演があると必ず1日前、2日前に行って、治療をする」
公演中にじん帯に大けがをしたことがある岩井さん。「本番中に回ってて、軸足ブチってなって。靭帯が切れる寸前で」
それも母の献身的なケアで今では万全の状態で舞台に立てるようになったといいます。
幼い頃に見たKバレエで人生が変わり、それを支え続けた家族の存在。
「マーメイド」で主役を演じることで、親孝行とともに、子どもたちにバレエの素晴らしさを伝えたいと話します。

岩井さん:
「子どもさんたちが見に来た時に『私もバレエダンサーになりたい』と思ってもらえたら嬉しいので、そう思ってもらえるように頑張ります」
櫻坂46松田里奈「ジャンルは違うけど…」
櫻坂46の松田里奈さんは、バレエとはジャンルが違えど同じ思いがあると話した。家族のサポートの大切さを自身も感じ、「私も人の感情を動かせるようなパフォーマンスを一緒に切磋琢磨できたら」と、若きバレエダンサーからもらった“刺激”を噛みしめるように口にした。
(THE TIME,2024年9月5日放送より)