■「約1万日のジャングル生活は、比叡山の“千日回峰”の10倍…やはり凄い人だったんです」

挨拶する甥の大阪女学院大教授・幡新大実さん

甥の幡新さんは挨拶の中で「横井さんは、ざっと1万日もジャングルにいた計算になる。比叡山の千日回峰の10倍ですから凄すぎます」と話した。

さらに美保子さんが78歳からコロナ禍前まで一人で12年あまり、記念館を切り盛りしていた凄さを口にした。

帰国後、饒舌には戦争のことを語らなかった横井さんに代わり多くの人に「戦争反対」「平和の尊さ」を説いた美保子さん。「絶対に戦争はダメなんです」と繰り返していた。


今回、横井庄一記念館に保管していた横井さん手作りの器などが会場に一部並べられた。そして、遺族から「ひとつずつ参加者にもって帰ってほしい」ということに。大変、驚いた。
その他、ゆかりの品がグアムの博物館などにも改めて並べられる計画も考えられていると伺った。

並べられた横井庄一さんの作品群

これまでの取材でも聞いていたが、60代になって作陶にのめりこんだ横井さんは、個展を開くほどに腕を上げ、周りの人には多くの作品をプレゼントしていた。

CBCのかつての「横井番」だった記者(故人)の家にお邪魔した際、応接間に飾られていたもの以外にも奥の押し入れからは出るは出るは、横井庄一作の陶器と書…。

探せば名古屋じゅうに今も“横井庄一作”は眠っているはずだと言う。

横井家と親交の深い「南太平洋戦没者慰霊協会」内藤寿美子理事(左)もかけつけた

あの戦争、ジャングル生活を生き抜いた「手」でこねられた土で作られた作品を私も今回、有難く頂くことになったのだが、力強いエネルギーを感じてしまう。

大事にさせて頂きたい。
いつも寄り添っていらっしゃった妻・美保子さんのお姿も重ねながら…。

横井庄一記念館に保管されていた作品のひとつ

横井庄一さんの帰国からこれまで、ご夫婦の取材を続けてきたCBCテレビ・ラジオの記者、ディレクター陣を代表して最後の“横井番”として、改めてご冥福をお祈りします。

CBCテレビ報道部 大園康志