「テレビが大好き」 テレビマンとして追求していきたいもの

——ドラマのタイトルにもあるように、「毒」が回ったように脳がしびれて抗えないほど、「好き」に支配されたようなご自身のエピソードはありますか?
僕はテレビが大好きなんです。ドラマが好きというより、テレビ自体が好きで、この業界で「たまたまドラマを作っている」という感覚が自分の中ではあります。仲の良い制作者も、ドラマ関係者よりバラエティーの方が多いですし、まずテレビが好きだというのが一番にあります。僕が小学生の頃、ザ・ドリフターズなどもそうですが「テレビ」が本当にキラキラしていて、かっこいいなと思って裏方に憧れました。今でも27年間この世界で仕事ができているのはすごく幸せだなと思いますし、ここから先は「恩返し」もしたい。自分が蓄えてきたものやノウハウをどう還元できるかという中で、今回ドラマを盛り上げるためにメディアミックスを考えたこともそうですが、スキームや仕掛けを作ることが、テレビの一つの醍醐味でもあるので、そういうところでも自分はテレビが好きなんだなと改めて感じています。この深夜枠でBLをやったら面白いんじゃないかと思ったのも、単純に「テレビマン」として番組をヒットさせたかったからです。自分のポリシーは、多くの人に見てもらえるものをどう作るのかということ。どんな作品を作りたいかというよりも、この枠の中で一番見られるコンテンツを作ってみたい、という順番でいつも考えています。
——「テレビマン」としての思いともつながるかと思うのですが、渡辺さんが「ドラマ職人」として譲れないこだわりはありますか?

ドラマでも、バラエティーなどの番組でもそうなのですが、「見たことのないものを作る」というのが、僕はテレビの使命だと思っています。だからドラマにおいても、なるべく見たことのないストーリーだったり、設定だったり、そこは追求していきたいですね。メディアミックス自体は特に新しいことでもないと思うのですが、これまで「ドラマストリーム」という枠でやってこなかった仕掛けでもありますし、BLの中に違うストーリーや要素を組み込むことで、これまでのBLとはちょっと違った作品になっているとも思います。そうした試みは、絶えず意識してやっていきたいなと思っています。
——そのような作品を打ち出す中で、今回W主演を務める濱さん、兵頭さんについては、どのような印象をお持ちですか?

まずは原作のイメージに見事にぴったりのお二人に出演していただくことができて、うれしかったですね。兵頭さんには、かわいらしい「ワンコ系男子」のハルトをすごくチャーミングに演じてもらっています。ハルトにはちょっとミステリアスなバックボーンもあるのですが、とても難しいニュアンスを、いいお芝居でうまく表現してくださっています。それに対して、濱さんが演じている志波は、完璧に見える男だけど恋愛に関しては経験ゼロで、兵頭さん演じるハルトに翻弄されているという役どころ。その面白さだったり、ちぐはぐさだったり、ドギマギした感じの「かわいらしい抜け感」のようなものを、すごくかわいいキャラクターに仕上げて上手に演じてもらっているなと思います。