中にも入れちゃう!“宙に浮かぶ臓器”

このシステムを開発した杉本医師は、日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』で小泉孝太郎さん演じる医師が使う医療ロボット「エルカノダーウィン」の開発にもかかわっています。モデルとなったロボットは実際の医療現場でも使われているもの。

そんな杉本医師が20年以上かけて開発したのが“宙に浮かぶ臓器”です。
VRゴーグルを着けると、実際に見えている景色の上に、骨・臓器・血管だけになった3Dの上半身が出てきました!

CTやMRIで撮影した画像をもとに、立体化した心臓や肺、肝臓などの“3D臓器”が目の前に。画面の中で手でつまむと、大きくなったり小さくなったり、上下左右の回転も自由自在にできちゃいます。中に入り込むこともできるので…。

THE TIME,マーケティング部 原部員:
「私いま大動脈の中にいます。臓器の裏側も見えちゃうんですね」

“宙に浮かぶ臓器”のシステムは、すでに国内の施設60~80か所で使われており、手術での使用例も5000件ぐらいになるといいます。

実際の手術中の映像をみると、ゴーグルをかけた医師たちが目の前の空間に映し出された3D臓器を見ながら話し合う様子が。

患者の臓器の状態を全員で共有し、これまでは切らないと見えなかった部分も確認してから施術できるため、ミスが無く手術時間も短縮。患者へのカラダの負担も減るといいます。

『Holoeyes』CEO 杉本真樹教授:
「今までは試しに切って、血が出てしまっても仕方がない。それをすぐ止められるのがベテランのドクターと言われていた。これからは、ここを切ると多分血が出るだろうというのを予想できる」

“宙に浮かぶ臓器”を使えば、カテーテル手術なども、どこからどう入れるか事前にシミュレーションもできるうえ、海外にいる医師と一緒にシミュレーションすることも可能!

手術ミスを未然に防ぐメタバース医療は、医学生への指導にも使われています。

医学生:
「教科書で見てると、本を書いている先生のある一点の画像でしか勉強することが出来ないので」

『Holoeyes』CEO 杉本真樹教授:
「1人の“神の手”を育てるのに何十年かかるんですけど、これからはもっと短い時間で、若い人がすぐベテランの域に達せられると思う」

医療の最新テクノロジーが、医師全体の技術を“神の手”なみに押し上げつつあるのです。

(THE TIME,2024年9月13日放送より)