人から人へ渡る車「使い捨て感覚」か

別の車のドライブレコーダーには、事件発生から10日間に及ぶ記録が断片的に残されていました。
ここから見えるのは、盗難車が場所を転々としながら人から人へと渡っていく様子です。
ベトナム語
「ガソリンがなくなりそうだ。(ガソリンスタンドは)どこにある?」

最初に乗っていたのはベトナム語を話す男。映像はすぐに途切れてしまいました。
次に記録が再開したのは、事件の8日後、場所は栃木の販売店から南に約90キロ離れた茨城県古河市でした。

前に写るのは、別の車の運転席のような部分。盗まれた車がキャリアカーに乗せられ、運ばれているのです。
なぜキャリアカーを使ったのか。
元埼玉県警刑事 佐々木成三氏
「この時、(盗難)車が果たして、ナンバーがついているかどうか、というところもある。次のところに持っていくときに、それでは持っていけないということで、キャリアカーで持っていくということは、十分考えられますね」
さらに5時間後、車は栃木に戻り小山市に。キャリアカーから降り、再び、走り始めていました。

カンボジア語
「エンジンオイル見てない?新品だから心配はない」
話す言葉がベトナム語からカンボジア語に変わりました。
カンボジア語
「車検切れの車だ。日本人の車って新しい。日本人は5万円の車乗らない。外国人は乗るけど」
カンボジア語を話す男が「5万円で車を譲ってもらった」とも推測できます。
さらに、ある自動車メーカーの店の前を通り過ぎる際、こう気持ちがこぼれます。

カンボジア語
「こういうところから(車を)購入したい」
正規店で車を買うには手が届かない、という意味でしょうか。
栃木、茨城と移動した車は、その翌日、今度は埼玉県にいました。男が突然、カタコトの日本語で、電話をはじめます。

カタコトの日本語
「クルマ、ワタシ、アタラシイ、カッタ」
新しい車を買ったことを伝え、その後、向かった先は…
記者
「埼玉県春日部市のアパートに、男が立ち寄る姿が写っていました」
ここに警察の捜査が入ったといいます。

近所に住む人
「4台くらい来てた、覆面パトカー。(警察の人は)十何人いたよ。(Q.摘発されていた?)踏み込んでいた感じだから。おとなしくしろ!というのしか聞こえなかったから、何かやっちゃったのかしらと」
その後、車は近くの駐車場で発見されましたが、ナンバープレートは付け替えられていたといいます。
元埼玉県警刑事 佐々木成三氏
「使い捨てのような感覚ですね。長い期間使うのではなくて、ある程度目的に沿って使ったら、これは乗り捨てるという」

自動車が一夜にして大量に盗まれる事件は、成田空港近くや、群馬県沼田市など関東で相次いでいます。
大田原市の自動車販売店の店長は、ドライブレコーダーの一部を自身のSNSなどで公開するなどして、情報提供を求めています。