「ビジネス客は儲かる!」IRの3つのメリット

 そもそも、大阪IRにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つにまとめてみました。

 (1)観光客やビジネス客の増加
 (2)大阪だけじゃない経済効果
 (3)税収の増加

 国際カジノ研究所・木曽崇所長は、「ビジネス客は儲かる!」と話します。観光庁のデータ(2018年)から「日本で使うお金」を比較してみると、観光客は約15.3万円、ビジネス客は約26.1万円で、その差は1.7倍。観光客に比べてビジネス客の滞在期間は長く、また、会社の経費を使えるため“財布の紐”が緩むのかもしれません。

 そして、IRに国際会議場・国際展示場をつくるのは、このビジネス客の増加が期待できるからなのです。そもそも、会議場・展示場は単体では儲からないため民間が参入しにくく、公が運営することが多いのですが(インテックス大阪など)、「IR整備法」(特定複合観光施設区域整備法)では国際会議場・国際展示場の設置がIRの認可条件とされていて、“カジノの利益”で運営するようです。
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 なお、国際展示場・会議場の分野で大阪は遅れをとっており、年間国際会議数は「20回」で世界23位(アジア太平洋地域・2023年ICCA調べ)、「インテックス大阪」の広さは世界123位(日本展示会協会調べ)となっています。
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 IR開業による経済効果は、大阪のベイエリアにとどまりません。IRの認可条件である「送客機能」を満たすためにバスターミナルなどを整備する必要があるため、夢洲から大阪周辺エリアへの送客が期待でき、それらの地域も恩恵を受けられると見込まれています。外国人観光客に人気の高野山・熊野古道への直行バスや、瀬戸内海エリアへのフェリーが運行されるかもしれません。また、観光PR施設をつくることも認可条件となっています。

 さらに、税収の増加も期待されています。カジノ税は「掛け金-払戻金=売り上げ」の3割を賦課するため、大きな税収が見込めるのです。さらに「入場料の3割」も税として徴収され、これらの収入を国と大阪府・市で折半すると、それぞれ約1000億円の税収になるという試算もあります。