オウム真理教信者の脱会を支援し、教団を追及していた坂本堤(さかもと・つつみ)弁護士ら一家3人が殺害されて今年で35年となります。
長男で当時1歳の龍彦(たつひこ)ちゃんの遺体が大町市の山中で発見されたのが、29年前の9月10日のことです。
3人を悼むとともに、事件を風化させず教訓を繋いでいこうという活動が各地で続いています。


一家の慰霊碑がある大町市の高瀬渓谷緑地公園(たかせけいこくりょくちこうえん)。

慰霊碑の3つの輪は、坂本弁護士と妻の都子(さとこ)さん、そして龍彦(たつひこ)ちゃんを表しています。

坂本弁護士が所属していた事務所の関係者などおよそ30人が8日、公園に集まりました。

毎年、龍彦ちゃんの遺体が見つかった9月10日前後にこの場所で3人を悼みます。

事務所の関係者:
「龍彦ちゃんだけがなかなか見つからなくて…」

大塚記者:
「こちらの慰霊碑から車で北におよそ5分ほど離れた山の中で龍彦ちゃんは発見されました」

今から35年前の1989年。

教団と対峙していた坂本弁護士と妻・都子さん、そして、当時1歳だった長男の龍彦ちゃんの3人は、横浜市内のアパートで殺害されました。

オウム真理教教祖の松本智津夫元死刑囚の指示による教団幹部の犯行で、龍彦ちゃんの遺体は、6年後の1995年、大町市の山中で見つかりました。

遺体が見つかった現場には、お地蔵様が1体置かれています。

生きていれば今年で36歳になる龍彦ちゃん。

弁護士など関係者が花を手向けて追悼しました。

オウム真理教被害対策弁護団 山内道生(やまうち・みちお)弁護士:
「過去の思い出が思い出されるだけに複雑です」
「オウム事件はいったい何だったんだろうということを忘れないように訴えていくことは大変大事だと思っています」

神奈川県から坂本弁護士の元同僚、岡田尚(おかだ・ひさし)弁護士も現場を訪れました。

坂本弁護士の元同僚 岡田尚弁護士:
「人の記憶だけではなく、事件の本質みたいなものをきちんと認識を広め合って、そういう意味でも今年はうれしかった、風化させないためにも」