春につくった小さな巣が手狭になる夏 引っ越しを始める

ー一匹で越冬した女王は、どうやって巣作りを?
(東洋産業 大野さん)
「暖かい春が来て、女王がのそのそと動き出した時、周りには仲間はいません。女王が一匹で巣作りを始めます。この時、もし死んでしまっては未来はありません。女王はなるべく狭くて安全そうな場所に巣を作ります」
「最初の巣は握りこぶしくらいより小さな巣。女王は立った一匹で巣作り、産卵、子育てを行います」
「帰りを待つ数匹の幼虫を巣において、女王は巣を拡張、補修しながら子供たちのエサや世話を続けます」
「巣には数匹の幼虫が常に「お腹すいたー」とカリカリ音を立てています。この時期が巣の運命をほぼ決定しています」
「運悪く外に出たところを天敵に襲われて死んでしまったり、事故にあって巣に帰れなくなったりするとその巣はおしまいです」
ー女王は、巣の運命を左右するんですね。
(大野さん)
「スズメバチの巣は女王が一匹ですが、この女王が死んでしまうと卵が産まれなくなるだけでなく、働きバチも自分の仕事がわからなくなってしまうようで、どんなに大きな巣も崩壊に向かっていきます」
「働きバチより一回り大きな体を持つ女王がへとへとになりながら約1か月くらい。ようやく働きバチたちが羽化してきます」
「最初の育児はとっても大変。この女王に育てられた最初の働きバチは女王に愛情を受けて育ちますが、それだけではお腹がいっぱいにならなかったのか、少し小柄な娘(働きバチ)になります」
「小柄な働きバチですが、しっかり働けるようになると、いよいよ女王は卵を産むだけの立場になります。ココから巣がだんだん大きくなってきますが、姉妹が増えてきた巣は少し手狭になります」
「これが7~8月。手狭になったところから引っ越しを始める時期です。
働きバチたちは、ここがいいなぁ、あそこがいいなぁ、と良い場所を探し、仮の新居を作り始めます」
