秋の気配が訪れると…スズメバチが高層マンションでお見合い?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「夏の終わり、女王が生まれます。生まれた時にはすべての卵は同じ条件ですが、たまたま女王候補になったところに生まれた卵は女王になるべく育てられます」
「ほかの姉妹たちと大切に育てられた女王はすくすく育ち羽化します。女王として羽化した個体は、巣の中で恋の季節が来るまでのんびり英気を養います」
「秋の気配が訪れる頃がスズメバチの恋の季節。ココからスズメバチの巣の物語のはじまりです」
「女王は時期が来たら巣から飛び立ち、高い木の上などの目立つ場所を目指します。こういったところがスズメバチのお見合い会場です。都市部で秋に高層マンションの上にハチが集まるのはこのお見合い会場になっているからです」
「気に入ったオス蜂と出会うことができた女王は一生に一度だけ交尾を行います」
「そして、お見合いが終わった女王は別れとともに一匹だけで越冬に入ります。女王はたった一匹で暖かい場所を探して春までじっと過ごします」
ー女王が飛び立った巣はどうなるのでしょう?
「崩壊に向かっていきます。女王やオスが飛び立った巣には滅びの時が迫ります」
「秋が深まるころ、だんだんと気温が下がり、働きバチたちも動きが鈍くなっていきます。エサもなくなった巣は維持することができなくなっていきます。餌もなくなってくると、働きバチが自分たちの食い扶持を保つことも難しくなり、育っていた幼虫も巣から捨てていきます」
「これからの世代もいなくなった巣はだんだんと働きバチの数も減っていき、最後には滅んでいきます。女王が巣立った実家はココでなくなってしまい、お見合いに出かけた女王は帰る家もなくなります」