引っ越し時期の巣は仮住まい 「せっかく駆除してもまた巣が…」

ー新居への引っ越しはどんな風に?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「たった数日でソフトボール位の新しい新居が出来上がります。ただ、新しい場所には危険があるかもしれません。仮の新居は10~30匹程度で行い、夜には見張り数匹を残して帰っていきます」

「引っ越しは、長いと1か月くらいかけて行います。夏真っ盛り、うまく引っ越しが終わった巣は突然大きくなっていきます。引っ越しが終わった巣が大きく、ずいぶんにぎやかになったころ、そろそろ来年の女王が産まれてきます」

ーちょうど今(9月初旬)、この引っ越しが終盤に差し掛かっている頃ということでしょうか。

(大野さん)
「そうです。引っ越しの時期、スズメバチ駆除のご相談が増えますが、これは狭い空間であまり気づかれなかった巣が、突貫工事で目立つ場所にいきなり巣ができているように見えたり、屋根裏のような広い空間で音がするようになったりするから、驚かれるようです」

「この引っ越し時期の巣は、あくまで仮住まい。女王がいない巣を何度駆除しても、そこが気に入った場所なら何度でもやってきて巣を作り事例も多くあります。せっかく駆除したのに、またスズメバチの巣ができている…こんなご相談もある時期です」

ー自宅周辺にスズメバチの新居をつくられていないか、チェックすべきですね。

(大野さん)
「ときどきおうちの周りを見てみたり、屋根裏や床下に飛び込んでいくハチがいないかを確認してみたりしましょう」

ー屋根裏や床下は、素人には確認が難しいですね。

(大野さん)
「スズメバチは毎年多くの人が刺される被害が出ており、怒らせると危険な生き物です。おかしいと思ったら専門家にご相談することをお勧めします」

「ちなみにオスが登場するのは恋の季節だけで、女王のように巣作りや子育てに参加したり、働き蜂のようにエサを探したりすることはありません」

「普段は巣の中でゆっくりと過ごし、恋の季節に仲間に追い出されて交尾した後は死んでしまいますし、この時期を過ぎても巣でのんびりしているものもいますが、巣に必要ないため追い払われて死んでしまいます」

「オスは自分で巣を作ったりする力はなく、針ももたないため攻撃性ももちません。オスは夏から秋にかけて自分のお姉さんたちに世話をしてもらって新しい女王と出会うためだけのヒモ的存在で、普段働いているのはすべてメスなのです」

ースズメバチ社会も大変なのですね…。

キイロスズメバチの巣