旧ソ連のゴルバチョフ元大統領、多くの日本人にとって米ソ冷戦に幕を下ろし、民主化を推し進めた「英雄的人物」と認識されていますが、大和大学の佐々木正明教授によると、ロシアでは「国を瓦解させた人物」として忌み嫌われているといいます。

 ―――ゴルバチョフ元大統領が91歳で死去しました。実は佐々木正明教授、ゴルバチョフさんに大きく影響を受けたそうですが?

 1991年は、大学1年生でロシア語を学び始めたときで、ゴルバチョフさんの言葉を自分で訳したりして学んでいました。2014年には、ゴルバチョフさんが幽閉されたクリミア半島の別荘に行きまして。ただクリミア半島ではゴルバチョフさんの別荘がどこか、誰も知らなかったんです。つまり国内では人気が二分というより、ほとんどの人が忌み嫌っている存在「国を崩壊させた人物である」ということだと思います。

「地獄の道を開いた」ロシアでのゴルバチョフ評

 ―――世界的には評価された人物ですが、ロシア国内ではそうじゃないのですね?

 朝のニュースでは、ロシア国営通信のコラムニストが「ゴルバチョフ氏はロシアの地獄の道を開いた。90年代にギャングが蔓延して、多くの人が悪夢の90年代を抱えて内戦で多くの人が亡くなった。ゴルバチョフ氏は善意でその道を開いてしまった」という論評がありました。その言葉はまさにロシア人、特に“ソ連人”が共通して持っている考えだと思います。

  1980年代末は、スーパーに物がなかった。失業者も、犯罪も多くなった。その後、エリツィン時代も立て直せなかった。ゴルバチョフ氏がいなければ、国は崩壊しなかったということだと思います。
 ―――いっぽうプーチン大統領は、疲弊したロシアを立て直し、国民の生活を豊かにしたということでぐっと評価を上げました。

 この2人は全く評価が異なる。プーチン大統領は国内で人気ですけども、果たして海外でどうなのか、ゴルバチョフ氏は全く逆なんですよね。この2人はロシアのそのものを物語る評価なのかなというふうに思います。一言で言えばゴルバチョフさん、エリツィンさんが崩壊させた国を、経済的にゆとりをもたらしたというのが大きい。