日米の共同訓練が今月から九州各地で行われていて、奄美大島での訓練が31日に公開されました。
ウクライナでも使われているアメリカ軍の最新のロケット砲システム「ハイマース」を初めて導入した今回の訓練、その狙いとは?

31日午前11時ごろ、奄美空港に到着したアメリカ軍の輸送機。運ばれてきたのは、高機動ロケット砲システム「ハイマース」です。

日米共同訓練「オリエント・シールド」は、島しょ防衛などの連携向上を目的に今月14日から来月9日まで九州各地で行われていて、陸上自衛隊1400人・アメリカ軍700人が参加しています。31日は奄美駐屯地での訓練が報道公開されました。

(記者)
「こちらが自衛隊の地対艦ミサイル。アメリカ陸軍のハイマースです。全長10mくらいと小型で、輸送機で運べて移動性が高いのが特徴です」

奄美での訓練に初めて登場したアメリカ陸軍の「ハイマース」。1台の車両に6発のロケット弾を搭載でき、GPSを使って高い精度で標的を攻撃できます。ロシアの侵攻を受けるウクライナにアメリカ軍が供与したことでも知られています。

奄美でハイマースの訓練を行った狙いとは?外交・安全保障が専門の明海大学・小谷哲男教授は、奄美を含む南西諸島での中国の海洋進出に伴う安全保障の懸念や、悪化する台湾情勢への対応が背景にあると話します。

(明海大学・小谷哲男教授)
「(訓練理由の)1つは奄美をはじめとする南西諸島の島に対して中国軍が上陸侵攻をするのを、遠いところから阻止するためにハイマースなど対艦艇攻撃能力を使う。
ハイマースは船で運ばなくても輸送機で運ぶことができる。島の多い南西諸島のような地形では、ハイマースは非常に有効な装備になると思う」

また31日は、敵のレーダーなどに使われる電磁波を妨害する日米の電子戦部隊の実動訓練も初めて行われました。

(陸自西部方面総監 竹本竜司陸将)
「厳しくなっている安全保障環境、特に南西諸島において、日本が実際に展開したということが大きい」

(在日米陸軍司令官 ジョエルB.ヴァウル少将)
「南西諸島の状況は厳しくなっている。この演習通して、連携できる能力向上したい」

今回の訓練に奄美市民は。
(40代・水産業)
「(アメリカが日本を)守ってくれんだったらいいんじゃないか。戦争とかないほうが一番いいが」

(中学3年・15歳)
「アメリカと日本が一緒に訓練するのはいいが、もしそれが戦争につながるならやめてほしい」

(70代)
「いいんじゃない。国を守るための訓練してくれるんだから」

地元の声も分かれる中で、離島防衛の強化は着々と進められています。