モヤモヤを解消する西園寺さん流“家族の形”

松村北斗演じる楠見俊直の娘・ルカ(倉田瑛茉)が保育園で起こしたトラブルをキッカケに、多様性のある家族の形が浮き彫りとなった第4話。そこで描かれた内容に関し、用丸氏は「この時代、みんなが抱えているモヤモヤを解消してくれた」と回顧し、「子育てに対する価値観や取り巻く環境はみんな違うし、答えがない時代だからこそ逆に悩む人も多いと思う」と続ける。

多様性を尊重する動きがある一方で、ではどうすることが正解なのか。その正解は人それぞれの価値観に左右される、しかしそれもまた多様性と、堂々巡りの問答が続く。

第1話では、1人で子育てをどうにかしないといけないと考えた楠見の呪縛を解き放つ西園寺さん。“偽家族”という新たな形を提案することもまた然り。第4話では逆に、西園寺さんがルカのために自分が苦手な料理をやらなきゃいけないという呪縛に囚われ、楠見に助けられた。

このことについて、用丸氏は「先輩や同僚、後輩が半径5メートルの距離感にいた時には、順調そうだな、キラキラしているなと思っていても、その距離感が半径2メートルになると見えてくる表情が違って、仕事と家事・育児の両立でみんな何かしら苦戦していて、日々もがきながら最適解を探していることに気付かされる」と自身の考えを語る。

先述した堂々巡りの答えは、全員に幸せになってもらいたいではなく、この“半径2メートル”にいる人を大切にしたいという姿勢にあるのではないだろうか。多くの視聴者から西園寺さんが共感されるのは、それを体現しているところにあるのだ。

この家族の形という話題を受け、白根氏は「今の時代、結婚がひとつのゴールではなくなっているなかで、それぞれの考え方をオープンに話すことが大切になっていると思います」と意見を披露。「戸籍上の家族に留まらずに、西園寺さんたちのように偽家族や職場の人や保育園の仲間など頼りあうことができる存在を、大きな意味での家族として捉えることができたら、みんな肩の力が抜けて楽になると思うんです。それぞれ自分なりの心地良い家族の形を探してもよいのでは?というメッセージをドラマから感じとることができて、勇気をもらいました」と胸の内を明かした。

さらに、偽家族については別角度からの意見も。「“偽家族はチーム名”と言っていたのが良かった」と語るのは松村氏。偽家族をルカに説明するため、西園寺さんが咄嗟に言った言葉だが、「ルカちゃんの幸せを第一に考えていることが伝わるし、応援したくなると同時に、こういうセリフの1つひとつが西園寺さんの解像度を上げている」と考察。

さらに、岩崎プロデューサーは「西園寺さんが実際にいるとしたら、と考えた時に、以前ドラマ作りに力を貸してもらったキャリジョ研プラスの瀧川さんの顔が浮かんだ」と言い、西園寺さんの解像度を上げる作業の一環として、西園寺さんを演じる松本若菜と監督陣、プロデューサー陣が瀧川氏の半生をインタビュー。博報堂キャリジョ研プラスのメンバーも瀧川氏の人柄を伝えるなどし、それが作品作りに一役買う結果となったのだ。