世界最古の山岳鉄道「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」

インド・ダージリンでの紅茶の栽培

この中国のお茶に魅せられたのがイギリス人。19世紀、植民地だったインドのダージリンに、中国から持ってきた木を植えて紅茶の栽培を始めました。

インドの世界遺産「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」

生産した紅茶の運搬のために生まれたのが、世界遺産「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」。世界最古の山岳鉄道で、今でも一部で蒸気機関車が走っています。

番組でも撮影したのですが、「トイトレイン」と呼ばれる小さな機関車が狭い街の中を縫うようにして走り、まるで日本の路面電車のようでした。のちにニルギリ山岳鉄道とカールカー=シムラー鉄道という他の山岳鉄道が2つ追加されて、「インドの山岳鉄道」という世界遺産になっています。

コロンビアのコーヒーと雲南省のプーアル茶の世界遺産名には、共に「文化的景観」と付いています。これは英語のCultural landscapeを直訳したものですが、自然の中での人間の営みが生んだ景観のことで「人と自然の共同作品」とも言われます。

コロンビアの場合は、アンデス山脈の急斜面でのコーヒー栽培という人の営みが生みだした景観。プーアル茶の場合は、雲南省の山で、少数民族が1000年以上も続けている茶の栽培が生み出した景観。

コーヒーとお茶という嗜好品に魅せられた人類。その嗜好品を得るための営みが生み出した景観が、世界遺産になったわけです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太