専門家「通報者保護の観点を失っている

「公益通報者保護制度」に詳しい淑徳大学副学長の日野勝吾さんは、今回の兵庫県知事を巡る問題については初動の対応を誤った最悪のケースだとし、「制度の根幹を揺るがす出来事」だと指摘します。

淑徳大学副学長 日野勝吾教授:「公益通報の制度の根幹を揺るがす事件だなというふうにまずは思っています。今回のケースを見ると、通報者を探していく人事課の内部調査を先行させて、処分をしてしまったという点は通報者保護の観点を失っていると言わざるを得ないと思います」

2022年6月に施行された改正公益通報者保護法では、組織の不正を内部から通報した人を守るために、通報者の情報を漏らした担当者には30万円以下の罰金という刑事罰が科されたほか、通報者が解雇や降格など不利益な扱いを受けた場合は行為者を懲戒処分とするなど、通報者の保護が強化されました。しかしー

淑徳大学副学長 日野勝吾教授:「不利益な取り扱いに対する行政措置というものがありませんから。もう少し法律の実効性を高めていくこと。もっと言うと、こういった不利益があった場合は罰則を付けるというようなレベルまで求めないと」

日野教授は公益通報者保護法の抜本的な見直しが必要だとしています。今回のように組織のトップが対象となる通報もあるという前提で、内部だけでなく外部の窓口もしっかりと整備すべきだと指摘します。