約40kgのマンホール吹き飛ぶ「エアハンマー現象」

新宿ではマンホールから大量の水が噴き出しました。別の映像からは、立て続けに水がふき上がり、画面の左側からはマンホールのふたとみられるものが吹き飛ばされていました。
目撃者
「爆発でも起きたみたいな大きな音がして。あんなの見たのは初めて。間欠泉みたいな感じ。気づかずに通ろうとする人とかいたので、穴に落ちるんじゃないかと」

雨が止んだあとの修復現場ではマンホールのふたが欠けていました。地面に落ちた際に割れたとみられます。東京都水道局によりますと、都内はほかに4か所のマンホールで、ふたがずれるなど被害があったということです。
一般的におよそ40キロもの重さがあるマンホールのふた。なぜ、ふき飛んだのでしょうか。

日本グラウンドマンホール工業会 大石直豪 事務局長
「業界の中では『エアハンマー現象』。(大量の水の流入などで)逃げ場を失った空気や水がふたの裏を強く『エアハンマー現象』で押し上げて、ふたを吹き飛ばしてしまう。圧縮された空気がハンマーのように、いわば爆発的な力で(ふたを)はじき飛ばそうとするから『エアハンマー』という言い方をしている」
専門家が指摘する「エアハンマー現象」。原因の一つは、想定以上の雨。下水管を想定した管に大量の水を流し込む実験では、処理しきれない水が勢いよくふき上がりました。
専門家は、マンホールの“古いタイプ”のふたには特に注意が必要だと話します。

日本グラウンドマンホール工業会 大石直豪 事務局長
「圧縮された空気をいかにうまく逃がすかがポイント。古いふたは圧力を逃がすという概念が全くない。新しい構造のマンホールのふたは、ふたと受け枠が一定程度浮き上がって、マンホール内部で高まった圧力、圧縮された空気、水を外に排出する」
ふたが飛んだマンホールは“穴”となり、気が付かないと転落するおそれがあります。

冠水した道路を想定した実験。茶色く濁った水が引いていくと、ふたが外れたマンホールが現れました。冠水した状態では“穴”の存在に気づけないことがわかります。
1998年に高知で発生した豪雨では、冠水した道路を歩いていた男子高校生と美容師の女性がふたが外れたマンホールに気付かず転落し、亡くなりました。
日本グラウンドマンホール工業会 大石直豪 事務局長
「集中豪雨時の道路を歩く際はマンホールのふたの近くを通行しないこと。道路冠水をしている時はなるべく外を歩かない、これが大事」