2022年に熊本工業高校の生徒が自殺したことについて、問題を調査していた第三者委員会は、「いじめが原因の可能性が高い」とする報告書をきょう(8月21日)、熊本県に提出しました。
部活動で何が
県教委の会見(2022年)「生徒の尊い命がこのような形で失われ、守ることができなったことに対しても大変申し訳なく思っております」

2022年10月、熊本工業高校の1年生の生徒が自殺しました。生徒は自殺する前に複数回、部活動の顧問やクラスの担任に「部活動で人間関係がうまくいっていない」と相談していたということです。
部員へのアンケートでは、上級生が下級生に暴言を浴びせたり、長時間正座させたりしていたとする情報が41件寄せられたことも明らかになっています。
「いじめ」の認定内容は

これらの問題について、県教育委員会が設置した第三者委員会は、2022年11月から自殺との関連などを調査していました。きょう県に報告書を提出した第三者委員会は、「いじめの可能性がある」として審理した5件について、いずれも「いじめ」と認定しました。
具体的には、
▼多くの部員の前で、上級生が自殺した生徒に対し「周囲と比べ出来ていない」と指摘し「何をしに来ているのか」「部活動に必要ない」と発言したこと
▼3年生が1年生部員を炎天下で30分以上立たせ「殺すぞ」などと暴言を浴びせた
こと
が確認されたということです。

また、自殺との因果関係については「部活動や人間関係の楽しさは、上級者の言動により否定され、喪失感を強めていった」とし、「自殺に影響を与えた可能性が高い」と結論付けました。
その上で、学校側の指導体制に本質的な問題があったと指摘しました。
熊本県いじめ防止対策審議会 八ツ塚一郎 委員長「自分たちも乗り越えてきたことだから、厳しく頑張って指導することによって克服していこうという方向性で指導を行った。学校の指導体制に問題があったと言わざるを得ないと判断した」

報告書の指摘「自問と反省を」
報告書では、最後にこのような指摘がありました。
「本事案の表層だけを捉えて『部活動内でいじめが横行していた』『シメが自殺を招いた』などと要約することは不正確である」
「この指導や言動は、『いじめかもしれない 相手を傷つけるかもしれない』という自問と反省を、真摯な対話を通して繰り返すことによってしか、問題の再発を防ぐことはできない」
(スタジオ)
リポーター「自分がやったことがいじめだと想像がつかないことも少なくないかもしれないですね」
後生川凜アナウンサー「2度と同じようなことを起こさないためにも、(対話は)必要だと思います」