「修理に持ち込まれる時計は運がいい」 現実は捨てられる数々の時計
工房亞陀によって再び命を吹き込まれた柱時計は能登町にもあります。
能登町に住む室谷伸子さん「ゆらゆらしてここに倒れたんでしょうね。この畳の跡がどこがぶつかったのかわからないですけど、横倒しになっていた」
父親が購入し、40年以上の時を刻んできた室谷さんの柱時計は、元日の地震で倒れ、壊れてしまいました。

室谷信子さん「ボンボン鳴らない間は、とても寂しいというか、本当に時が止まったというかそういう感じでした」

当たり前のように時を知らせていたボンボン時計。その音がなくなって初めて知った、存在の大きさ。工房亞陀の仕事は、時計の持ち主の止まってしまった時間を再び動かす仕事です。
室谷信子さん「また時を刻んでくれて本当にうれしく思っています。大事にこれからも大事にしてゆきたいと思っています」
能登半島地震によって壊れてしまった時計は数多くあります。そのほどんどは、修理もされず捨てられているのが現状です。
工房亞陀の匠さんは「自分のところに持ち込まれた時計は運がいい時計だ」と話しています。時計には、家族の思いが詰まっているものも多く、今回の地震でついた傷も含めて1つでも多くの時計が後世に継承されることを願わずにはいられません。