選挙区内の祝賀パーティーで発起人代表も「祝賀会の運営に関係してない」
その裏金をめぐっては、2023年11月、安倍派・岸田派の議員などがパーティー券の収入の一部を政治資金収支報告書に記載していないことが大きな問題に。

1か月後、岸田総理は安倍派の幹部、いわゆる安倍派五人衆の松野官房長官や萩生田政調会長らを閣僚や党要職から事実上更迭した。
この裏金問題で岸田政権の支持率は低落傾向に拍車がかかった。

7月末、地元広島市で岸田総理が関わったパーティーが開かれた。前広島市議会議長、佐々木壽吉氏の旭日中綬章受章の祝賀会だ。
ローストビーフや鰆の西京焼きなど、一人4000円相当だという料理が昼食として振舞われた。自民党の片山さつき氏、宮沢洋一氏や地元経済界関係者などおよそ400人が参加した。そして…
岸田総理
「私の父の代から、大変力強いご支援をいただいており、そうしたご縁からも、このたびの受賞は慶賀の至りです」
これは報道特集が入手したパーティーの案内状。

【発起人代表 衆議院議員 自由民主党総裁 岸田文雄】
岸田総理はこの祝賀会の発起人代表を務めていた。さらに会場には岸田総理の長男・翔太郎氏の姿も。
総理公邸で親族らと忘年会を開いたなどと批判され秘書官を更迭。岸田政権の支持率が大幅に下落する要因となった。この日、翔太郎氏は岸田総理の代理を務めていた。
政治資金問題の第一人者、神戸学院大学の上脇教授は、祝賀会の発起人代表が岸田総理であることは問題だと指摘する。

神戸学院大学 上脇博之教授
「公職選挙法が選挙区内の者に対して寄付をすることを禁止している」
佐々木前市議会議長は岸田総理の選挙区、広島1区の住民で岸田総理が祝賀会の発起人となって生じた利益は住民への寄付行為にあたるという
上脇博之教授
「祝われる方にお金を提供しようと思って開催された可能性が高いですよね。この祝われている佐々木さんの方にお金を提供したということになれば、これは公職選挙法違反になってしまいます。仮に違法でないとしても、政治的には大問題だと思っていますね」
パーティーや岸田総理との関係について会の主役、佐々木前市議会議長を問いただした。

――利益でるんじゃないですか
佐々木壽吉 前広島市議会議長
「出るわけないじゃん」
――これ黒字になると思うのですけど
「それはちゃんと報告してあげるから。黒字になったらちゃんと」
――岸田総理はどういう関係になる?
「『(発起人の)代表にしてもらえますか』と(岸田総理側が)言ったから、いいよって」
――今回、岸田総理は発起人として名前だけ?
「32年間ご苦労さんでしたねっていう」
この取材の3日後、収支は赤字だったと強調した。

岸田事務所を取材すると…
『祝賀会の運営に弊事務所は関係しておりません』
報道特集ではこれまで4回にわたって、岸田総理自身のパーティーについて取り上げた。主催したのが実質は岸田事務所で政治団体であるのに任意団体だとして、政治資金収支報告書への記載を免れたのではないかという疑惑だ。

上脇教授や市民グループは岸田氏の総理就任を祝う会について、岸田総理や後援会代表ら4人を刑事告発した。だが広島地検は8月9日、岸田総理については「嫌疑なし」、後援会代表ら3人については「嫌疑不十分」として、全員を不起訴処分とした。
神戸学院大学 上脇博之教授
「これどう考えても政治資金規正法違反です。(検察審査会に)審査を申し立てをして、起訴相当議決を求めたいと思っています」
かつて自民党に所属した元広島市議は、岸田総理の対応は十分ではないと指摘した。

――裏金問題も実態は全く説明は…
伊藤昭善 元広島市議
「説明されてないじゃん、自分のことも含めてね。全部、安倍派のせいにしてもうて。政治資金の規正法を改正したというけどあれは改正じゃないわな。自分らの都合がいいところは残してからさ、今後縮小してまた新たに始めますっていうとるのと一緒やから。そういう話でもちきりだったよ」