貧困家庭をカバーするために私たちが出来ること

小説家 真山仁:
私は沖縄で困窮家庭を取材し執筆もしました。こういう例を見ると、みんな「助けよう」と思うのですが、その助けを求める声が可視化されない点が一番大きな問題です。それは「恥ずかしい」と思う親の問題が大きいです。なかなか「助けて」と言い出すことができない。
元々、日本には「子どもは地域の財産」という発想があり、地域全体で子どもの貧困をカバーしていく必要がある。しかし、家から一歩も出ないという人も多く、隣に住んでいてもどういう状況なのか、大人が把握することができない。行政がもっと積極的にカバーしていく必要があると思います。
それから、自主的なことが必要です。例えば「何でこの子達を救うのか、えこひいきだ」というのではなく、学校などは家庭状況が分かるはずなので「この子をカバーしよう」すること。実際、沖縄では行政がカバーして、子どもを真っ直ぐ家に帰らせずに特別学童保育に寄らせる所もあります。
小川彩佳キャスター:
具体的にどのようにサポートしていけばよいのでしょう。
垣田友也ディレクター:
貧困世帯だけをターゲットにした支援策も有効です。しかし、それを使うということは、子ども自身が「自分が貧困である」ということを認めざるをえない状況になります。友達に知られたくないから学校に行きたくない、ということも起きます。そもそも、親が子どもに自分の家が貧困であることを明かしていないケースも多々あります。
では、どうしたらいいのかというと、「全ての子どもが利用できるようなサービス」を作ることが大切だと思います。
実際に自治体の中では、夏休み中に学童で安く給食を出したりしているところもあります。決して簡単なことではないですが、不可能なことではないと思います。実際に今回、取材したような子どもたちがいることを知り、「まず何からできるのか」ということを大人たちには考えてほしいと思います。
================
真山 仁さん
小説家
「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」