本音は「勝機ナシ」と判断?なぜこのタイミングで不出馬表明をしたのか
小川キャスター:
岸田総理が不出馬を表明しました。その背景に何があったのか。まず、この岸田総理の不出馬表明のタイミングは、なぜ今だったのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
15日の終戦記念日の後に方向をはっきりさせるのではないか、と思っていました。しかし、お盆明けになるといろんな候補が手を挙げます。そうなると、そういう人たちに抑え込まれて不出馬、ということになりかねません。そういった動きが出る前のタイミングを選んだ、ということのようです。
ただ、自民党内に広がる岸田総理に対する不信は払拭できないままの退陣になった、ということです。
藤森祥平キャスター:
14日の会見を見て、星さんは本音の部分が見えてきたそうですね。

星浩さん:
「今回の事案(裏金問題)が発生した当初から思い定め、心に期してきた」と会見で述べていました。しかし、現実に岸田総理がやったことは再選を目指して麻生副総裁との関係修復に動いたり、最近になって、憲法改正を打ち出して保守派の取り込みを狙ったり、再選を考えていたことは明らかでした。
しかし「自民党が変わることを示す最初の一歩」と言ってはいましたが、全体として厳しい状況を改善することができなかった。つまり、今回の総裁選に出ても「勝機ナシ」と撤退を判断した、というのが本音だと思います。

小川キャスター:
一方で14日の会見で総理は、総裁選から撤退するにあたり、「(政治家としてやりたいことやるべきことを示す)政治家の意地みたいなものはあった」と語っています。この“意地”という表現を繰り返し述べていましたが、これにはどんな思いがあったのでしょうか。
星浩さん:
「政治家の意地」という言葉は岸田総理の本音が出たと思います。
最近、岸田総理の周りを取材していると、「岸田政権の3年というのは、言ってみれば安倍政治の尻拭いだった」ということを岸田総理は周囲に漏らしているようでした。

旧統一教会をめぐる問題、安倍派を中心とした派閥の裏金問題、さらにアベノミクスの金融政策によって生まれた歴史的な円安に今苦しんでいるという面もあり尻ぬぐいに追われた、ということです。
しかし、逆に岸田総理が安倍政治に対して、きっぱりと決別を宣言することができなかった、ということが岸田総理の限界だったと言えると思います。