■岸田総理が来夏以降に原発7基再稼働進める方針

ーー岸田さんがGX、グリーントランスフォーメーション実行会議で、急に来夏以降に新たに7基、計17基の原発を再開して、運転期間が60年、しかも次世代型原発の開設とかそういうことを検討するって言い始めて、いつの間にこうなったのと思ったんですが

玉木:
覚えています?ちょっと前に、この冬に原発9基を動かすと。「すごいじゃない、岸田さん覚醒したんじゃないか」と言っていますけど、まず10基再稼働がもう認められています。そのうち定期検査とかで停まったり動いたりしているんですけど、10基のうち9基がいろんな定期検査が終わったりすると、(この冬)自然体で9基になるだけです。今回プラス7基動かして17基にするっていうのは、設置変更許可が出ている7基が動きますよっていうだけです。


ーーそもそも今、電力が逼迫しているから動かすっていう話では・・・

玉木:
この冬が大変だし、来年夏も大変なんですけど、来年夏以降って言われてもね、ちなみにこの7基が、今回岸田さんが発表したものですけど、ピンクで囲っているところですが、実は来年の夏に間に合うのはこの設置変更許可が下りてある程度住民の合意が得られていることで言えば、高浜の1号機2号機、これぐらいですから。

もうひとつ、今、住民合意もあって決まっているのは女川なんですけど、これは再来年に動くということなので、来年の夏になるとプラス7基が17基体制になるような感じで言っていますけど、全くそんなことなくて、動いて高浜1、2号機と島根ですね。この辺が動く。ただポイントは、この3つ全部関西でしょ。逼迫しているのは関東なんです。東京電力管内、東北電力管内。ポイントはやっぱり柏崎刈羽の6、7号機。これは全く住民の理解も得られませんし、核物質防護といってですね、核テロ対策でIDを不正使用したり、いろんなことが起こってですね、また規制庁からいろいろ言われて、いまだめどが立っていない。

ただ資源エネルギー庁なんかは、できれば、この冬には間に合わないけど来年の夏には何とか住民の理解を得て動かしたいなと言っているんですけど、多分、岸田さんが本気でやる気だったらですね、政治的なリーダーシップを発揮するのはこの柏崎刈羽の6、7号機に、どういうリーダーシップを発揮できるかと。ここは皆さんには着目いただきたい。

ただ繰り返しますけど、来年夏に17基が動くわけでは全くなくて、まあ動いてプラス3、13基が来年の夏後かなと。依然として電力の逼迫状況は変わらないと。

かつリプレイス。建て替えですね。これは私たち国民民主党だけが、やっぱり新しい人と技術を次世代に繋いでいかなきゃいけないんで、絶えざる研究開発で必要だと、より安全なものにリプレイスしていった方が、安全性が高まると思うんです。あの40年、60年使うということになっていますけど、やっぱりインターネットもない時代に設計されたものをいつまでも使うよりはですね、最新で小型のものに替えていった方がわれわらは安全だと思っているんです。(岸田さんは)次世代の軽水炉とか次世代の小型炉とかをやるって、検討しろと言ったらしいんですが、ただその根っこの、そもそも今あるものを建て替えするのかどうかの方針を決めていないんですよ。

「どこに旅に行くか決めていないんだけど、ちょっと旅先だけは検討しておいて」みたいな。海外旅行に行くかどうか決めてないのに、ハワイに行くのか、ヨーロッパに行くのか、アメリカに行くのか検討しておいてという感じで。でも肝心の私たちは、海外旅行に行くのか行けるのかは、まだ全く判断していないんですよ。だからそこを岸田さんがます政治的判断で決めるなら決めて、じゃリプレイスするんだったら、こういう技術、こういう技術、こういう技術を検討してくださいっていうのが先なんだけど、根っこのところやってないので、何かどうやらこの前の「また岸田さん今度は17基やる」「リプレイスやる」「新増設やる」って言って大々的に書かれたから、いや、あんなに強く言ったはずじゃないのにみたいな、結構なんかちょっと逆に押し戻そうというような動きも出ているように聞いていますけどね。

ーーただやっぱり3.11がありましたから、核のゴミどうするんだとか、それから避難計画ができてないとかね、それ以前の段階で反対が多いじゃないですか。ここをこうやるっていうのは、リーダーがこれこれ説明して納得させられなきゃいけないわけです。それができるかどうか?

玉木:
例えば新規制基準、われわれも当時与党だったので、3.11の2011年の事故はもう絶対、政治家としても一生忘れてはいけないし、何よりですね安全第一でやっていくということはもうこれは揺るがせにできない、一番大事なことだと思っています。その上でずいぶん安全対策も施されてきたということと、一方でやっぱり非常に電力が逼迫しているという現状と、これはね、100点満点がない。必ずしもその全員が賛成する、全員が反対するんじゃないので、そこで全員が賛成だったら政治が判断する必要ないので、どうしても意見がわかれるときに、それを丁寧にデータに基づいて説得していくのが政治の役割だから、そこをまさにやるべきなんだと思います。

また私たちも新増設までは、まだやれと言ってなくて、例えばリプレイスをまず少なくとも決めるべきじゃないですかと。安全基準は、やっぱり新規制基準をきちんとやるべきなんだけど、例えば泊原発だと、かれこれ審査が10年ぐらいかかっているんです。標準的な審査基準は一応2年と決められているので。アメリカの規制当局も、むやみやたらに審査するのではなくて効率性とか合理性と、あるいは事前にある程度ですね、論点を明らかにして、その審査プロセスをより合理化していくようなことをしている。もちろん安全第一だから全てのことに答える責任が事業者側にあると思いますけど、やっぱり審査する側にも一定の効率性とか、そのプリンシプルですね。審査の基本的な原則っていうのは、アメリカも参考に、私はそろそろ入れるべきかなと。

実は北海道電力の泊原発の審査なんかでは、事前に論点を出してくれるようになってきているので、それを他の電力会社の管内でも、少しその審査手続きを効率化するような取り組みが必要ではないかなと思いますね。