「応援に思いを持ってくれているのではあれば断る理由はない」

「まずは形を覚えて来てください。発声の時にはひじを地面と平行になるように上げてください」

2023年度の応援指導のワンシーン。村松真広応援団長(当時)は、今まででは考えられない丁寧な口調で応援を教えていました。生徒の間を練り歩くことも極力控え、給水も積極的に促します。さらには、困らないようにと、解説付きの動画を作成し、1年生全員に配りました。

改革はこれだけにとどまりません。バンカラとは対極にあるダンス部とのコラボ応援をすることも決めました。

「前例がないことなので、すべてが試行錯誤しながらやることが大変だと感じます。(応援団を)存続させることを第一に考えました。応援に思いを持ってくれているのではあれば断る理由はないと」(村松真広団長・当時)

時代の流れにあわせて、改革を断行した応援団。あれから1年、卒業生たちによる即席バンドが奏でる伝統の応援歌、大学野球のチアを彷彿とさせる切れのあるダンス、そして、地鳴りのような声量、新たな「カケニシスタイル」の応援が、甲子園を埋めた観客の心に刻まれました。

「掛川西高校では、生徒全員が応援団員です。生徒全員でともに戦うのは、この掛川西高校が誇る独自の文化であると思っています。自分はそれを絶対に、いまここで絶やしてはいけないと思っています」(村松真広さん)

8月15日に2回戦を迎える掛川西高。変化を恐れず、守るべきものは守り抜いた全力の大声量応援のDNAは、次の100年へと受け継がれます。

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