父の教え「楽しむ」
そんな赤﨑が、陸上人生で大切にしているモットーが「楽しむ」だ。その原点を探るとそこには今も現役の市民ランナーである父・俊文さんの教えがあった。豊かな自然が広がる人口約3万6000人の熊本県大津町で育った赤﨑は小学生時代、家の近くにある学校のマラソン大会のコースを父と一緒に走った。田んぼや畑が広がるコースのラストはゆるやかな登り坂となっている200mほどの直線。小学生にとって、最後の直線の坂はきつかったに違いないが、そこで父・俊文さんとラストスパートを磨いた。それには父なりの指導法があった。
父:俊文さん
最後の最後まで手を抜くなとゲキを入れるんです。「ラスト気を抜くな!お父さんに勝て!」って。一緒に同じ速度で並走してあげて、最後は勝たせてあげる。勝ちを味わわせる事で楽しいって思ってもらうこと。またそこで褒めてあげるといいんですよ。「今日はいつもより、スピードがあったね」とか。ここが初めて勝負事に芽生えた原点だと思います。あとはやっぱり楽しんでやる事が一番ですからね。
赤﨑:
楽しむには強くならなきゃいけないですし、勝つという事は嬉しくて、楽しいと思えるので、父なりのアドバイスが強くしてくれたんだろうなと思います。
父にとって、日の丸を背負う息子は、とても誇らしい。パリの代表を決めたMGCのゴールシーンは話を聞いた2月の時点で20回は見たと話す。
父・俊文さん:
せっかく代表として出るからには本人がモットーとしている「楽しんでということ」。自分が今出せる、納得できるベストパフォーマンスを出すことが、一番良いことだと思います。それが自然と結果につながるんじゃないのかなって思っていますので、楽しんでベストを出してほしい。
母・貴子さん:
主人と一緒なんですけど、とにかく自分の納得がいく走りができれば、怪我をせずに無事に走って帰ってきてくれればいいなって思います。
初めて日の丸を背負って走る夢舞台、五輪史上最難関のコースでも、赤﨑暁は楽しんで、駆け抜けるつもりだ。
赤﨑:
色んな方々のサポートや後押しで夢を叶えて、パリの舞台に立ちますので、楽しみながら走っているところを皆さんに観てもらいたいと思います。出るからには結果を求めて行かなきゃいけないですので、8位入賞とその先のメダルっていうのを目指しますし、応援してくださった皆様に感謝の気持ちを込めて、本当に勇気が与えられるような走りができたらいいなと思っています。

















