次の総理に取り組んで欲しい政策 1位は「物価高対策」、「憲法改正」は最下位
岸田総理は、7日、自民党本部で行われた憲法改正実現本部に出席し、このように述べた。
「憲政史上初の国民投票にかけるとしたならば、ぜひ緊急事態条項と合わせて、この自衛隊の明記も含めて国民の判断をいただく、このことが重要であると考えています」
総理がこの会議に出席することはおろか、憲法改正にここまで踏み込むのは極めて異例だ。さっそく翌日、立憲民主党の長妻昭政調会長がは「総裁選に有利になるとか皮算用が見え隠れしている」などと批判した。自民党内からも総裁選対策で「保守層を取り込むためではないか」などと冷ややかな見方もある。
今回の世論調査で「次の総理にもっとも重点的に取り組んで欲しい政策」をひとつだけ聞いたところ、1位は「物価高対策」で20.9%だった。

岸田総理をはじめ、来月の総裁選に事実上の出馬表明をしている石破氏や、立候補に意欲を見せる小泉氏も憲法改正を訴えるものと見られ、総裁選での争点のひとつになりそうだ。
岸田総理の踏み込んだ発言があり、これから改憲論議は活発化しそうだが、今回の世論調査では、「物価高対策」や「社会保障対策」「景気対策」など、より国民の生活に近いものが上位を占め「憲法改正」は最下位だった。今回の総裁選では、幅広い分野での政策論争となることが求められている。
【8月のJNN世論調査の結果概要は以下の通りです】
●岸田内閣の支持率は31.0%。前月の調査より4.1ポイントの上昇。3割台を回復したのは23年10月(39.6%)ぶり。不支持率は66.4%で前の調査より5.1ポイント下落。
●政党支持率では自民党の支持が27.1%(前月の調査から3.0ポイント上昇)。立憲民主党は5.2%(2.2ポイント下落)。日本維新の会は3.7%(0.6ポイント下落)。
●防衛省の不祥事を巡り、木原防衛大臣が一連の責任を取って「辞任するべきだ」が44%、「辞任する必要はない」が39%
●都知事選で起こった候補者と関係のないポスターが大量に貼られるなどの問題を防ぐため、公選法の改正が「必要だ」が79%、「必要ない」が13%
●9月の立憲民主党の代表選に「大いに関心がある」が8%、「ある程度関心がある」が28%、「あまり関心がない」が39%、「全く関心がない」が25%
●次の衆院選後の政権について、「自民党中心の政権の継続を望む」が41%、「自民党以外の政権に交代することを望む」が42%。
●9月の自民党総裁選で岸田総理が「続投した方がいい」が17%、「交代した方がいい」が70%
●自民党の中で次の総理にふさわしい人は(あいうえお順、敬称略)
「石破茂」23.1%、「加藤勝信」0.8%、「上川陽子」6.9%、「岸田文雄」6.4%、「小泉進次郎」14.5%、「河野太郎」7.1%、「小林鷹之」0.8%「菅義偉」4.8%、「高市早苗」7.0%、「野田聖子」0.7%、「林芳正」0.4%、「茂木敏充」0.9%、「その他の議員」9.0%。
●次の総理に最も取り組んで欲しい政策は(多い順に)
▼1位「物価高対策」20.9%
▼2位「年金、医療、介護などの社会保障対策」19.3%
▼3位「賃上げなどの景気対策」15.4%
▼4位「少子化対策や子育て支援」14.9%
▼5位「『政治とカネ』の問題など政治改革」11.6%
▼6位「外交・安全保障」7.8%
▼7位「憲法改正」1.9%
「それ以外」は5.7%でした。
【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。8月3日(土)、4日(日)に全国18歳以上の男女2329人〔固定909人、携帯1420人〕に調査を行い、そのうち43.4%にあたる1010人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話500人、携帯510人でした。
インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。
TBSテレビ 政治部 世論調査担当デスク 室井祐作