社長は「成瀬さん」ではなく「山本さん」だが…?

 鰻の成瀬は営業時間が少し短めで、昼は午前11時~午後2時、夜は午後5時~午後8時。これにも理由があり、アルバイトの人を確保しやすいからだということです。昼の営業が午後2時までなら、主婦の人は子どもが帰ってくる前に帰れます。夜の営業が午後8時までなら、学生の人がアルバイト後に勉強の時間を確保できるほか、帰宅が遅くなりません。外食産業が人手不足の中で、こういった部分も加盟店目線です。

 では、山本社長なのになぜ『鰻の成瀬』?これは意外な理由で、事業を最初に担当したのがたまたま「成瀬さん」だったからだということです。成瀬さんとはどんな方なのか、取材班が写真を借りたいとお願いしたところ、シャイな方で許可は出ませんでした。しかし、直営店で働く場合、面接担当は成瀬さんだということなので、アルバイトをすると会えるかもしれません。

 そして、取材する中で聞いた山本社長の驚きのひと言が「うなぎブームは絶対に来てほしくない!」。鰻の成瀬がうまくいったことで同業者が似たような店を作って鰻ブームになってしまうと、ブームが去ることが怖いため、同業者は来ないでほしいという思いがあるそうです。

 また、昔のお店を脅かすことはしたくない、共存したいとも話していました。鰻の成瀬では機械でおいしく焼き上げるのにこだわっていますが、職人技の鰻と全く同じだとは思っていないとしていて、あくまで“この価格でこのクオリティ”で食べたい方は来てほしい、ということです。