アメリカと中国の対立が深まる中、中国が今、取り組んでいること。それは食糧の自給自足です。カギを握るのは「タネ」。その現場を取材しました。
今年、ロシアによるウクライナ侵攻で、世界中の人々に改めて突き付けられた現実があります。それは、「食糧はどこからきているか」。
ウクライナは世界有数の食糧輸出大国。しかし、ロシア軍が黒海沿岸の港を封鎖したため、輸出がとまり、世界的に小麦などの価格が高騰。日本でもパンや麺を中心に続々と食料品が値上がりしました。
こうした事態を回避するため、国内で食糧を自給自足しようという取り組みを、いち早く始めたのが中国です。現在、中国の食糧自給率は65.8%。特に大豆の自給率は17%にとどまっており、その多くはアメリカやブラジルからの輸入に頼っています。
食糧確保に強い危機感を持つ中国。そこで着目したのが・・・
記者
「こちらでは唐辛子のタネの品種改良がおこなわれています。中国政府は今、タネの品種改良に力を入れています」
4月には習近平国家主席自らタネの研究所に足を運び、こう、檄を飛ばしました。
習近平国家主席
「タネは我が国の食糧安全保障のカギだ。自分の手でタネを握ってこそ、中国の食糧事情を安定させることができる」
食糧自給率100%を達成するためには、タネを品種改良し、収穫量を上げる必要があると力説したのです。
政府の農業担当者
「農業のタネは、まさに切り札です。タネの良しあしで収穫量が決まります。開発戦略がうまくいくことが、農業大国になるカギなのです」
さらに、中国はタネの多くをアメリカ、オランダ、日本などから輸入しています。特に野菜のタネは、90%以上輸入に頼っているのが現状です。そのため、タネ自体の自給自足にも力をいれています。
タネの品種改良会社の担当者
「品種改良の目的は『他人に自分の首を絞められないこと』です」
14億の人口を抱え、食糧需要が増え続ける中国。もし、アメリカなどがタネや食糧の輸出を止めてしまったら?米中対立が深まる今、その懸念は現実のものとして中国では受け止められています。
すべてを国内で完結させ、国際情勢に左右されない国づくりを目指す。タネの品種改良の現場からは、そんな中国のしたたかな戦略が見えてきます。
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