ヨーロッパで最も美しい都市のひとつ…ポーランド「クラクフ歴史地区」

三つめは、ポーランドの「クラクフ歴史地区」です。クラクフはワルシャワに遷都する前、ポーランドの首都だった街。ワルシャワは第二次世界大戦の戦火で灰燼に帰したのですが(その後、戦前の姿そのままに復元した「ワルシャワ歴史地区」は世界遺産になっています)、クラクフは戦火を奇跡的にまぬがれ、中世以来の街並みをよく残しています。

歴代の王の居城だったヴァヴェル城、ポーランド最古のヤギェウォ大学、歴史は14世紀頃に遡るユダヤ人街のカジミエシュ地区など、さまざまな見どころがあり、コンパクトな街なので歩いて見て回ることが出来ます。

緑も多く、「ヨーロッパで最も美しい都市のひとつ」といわれるわりには、日本ではあまり人気・知名度が高くないように思います。
夏の最高気温は25℃前後と過ごしやすく、物価も他のヨーロッパ諸国よりも比較的安く、さらに農業国なのでワインも食事も美味しいので、おすすめの所です。さらに「ヴィエリチカ岩塩坑」などの他の世界遺産も近くにあります。

以上、番組制作を通じて、「穴場だ」と思った3つの世界遺産を紹介しました。「天空都市」の古代遺跡、「水の芸術」の大庭園、「ヨーロッパで最も美しい都市」のひとつ。どれもかなり満足度の高い世界遺産なので、夏休みの旅行先のご参考になればと思います。
執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太