パリオリンピック™陸上競技最初の種目、男子20km競歩が8月1日、天候の影響で予定より30分遅れの午前8時(日本時間午後3時)にスタートした。前回の東京五輪では池田向希(26、旭化成)が銀、山西利和(28、愛知製鋼)が銅と、2つのメダルを獲得した日本の得意種目だ。
今回は池田の7位(1時間19分41秒)が最高で、メダル獲得はできなかった。しかし8位(1時間19分50秒)に古賀友太(25、大塚製薬)が入り、ダブル入賞を成し遂げた。メダルを逃した原因は何だったのか。そして来年の世界陸上東京大会でメダル奪回は期待できるのか。

15km以降のスピードに表れていた池田の不調

レース後の池田は敗北を潔く認めていた。

「後半勝負になることは予想していました。前半は集団の中で落ち着いてレースを進め、ラスト5kmの勝負になると読んでいました。その勝負への準備はできていたのですが、上位に入った選手たちに比べると力不足だった。それが今回の結果に現れました」
 
ラスト3kmから引き離されての7位に終わった池田。本当の調子はどうだったのか。銀メダルの21年東京五輪、やはり銀メダルの22年世界陸上オレゴンでは、終盤のペースアップに対応していた。

池田の東京五輪以降の世界大会成績とラスト5km、ラスト2kmの所要タイムを調べてみた。

▼21年東京五輪
 2位・1時間21分14秒(19分47秒、7分43秒)
▼22年世界陸上オレゴン 
 2位・1時間19分14秒(19分17秒、7分38秒)
▼23年世界陸上ブダペスト
 15位・1時間19分44秒(21分27秒、9分06秒)
▼24年パリ五輪
 7位・1時間19分41秒(19分31秒、7分53秒)

▼24年日本選手権
 1位・1時間16分51秒(19分28秒、7分51秒)

今年2月の日本選手権で池田は、1時間16分51秒の世界歴代3位で快勝した。世界大会とは真逆の季節で、前半のペースもまったく異なる国内大会。単純な比較はできない。
だが日本選手権は15kmまで世界新ペースで、最後は独歩となっていた。終盤でのペースアップは難しい展開だったが、パリ五輪はその日本選手権よりも遅かった。
スポーツマンらしく勝った相手を称えた池田が、自身の歩きがメダルを取った2大会より良くなかったのは明らかだった。