ルハンシク州というのはロシア側の目標の一つであったんですけども、ここは制圧したということなんですが、実際ドネツク州からですね、前線がウクライナ側の方に広がっていないんですね。ここでもウクライナ側が奮闘している、抑えているということだと思いますのでやはりこれも目標というのが達成されていない、そして7月に入りまして、ハイマース(多連装高機動ロケット砲システム)が非常に効果的に、ヘルソン州南部でもロシアの弾薬庫を狙ったり、基地を狙ったりして、ウクライナ側の攻撃が成功している。ザポリージャ州の周辺とか、ゼレンスキー大統領の故郷、実はあの辺も実は危ないところなんですけども、このハイマースによって弾薬庫を狙っていますので、狙えない状況にもあります。つまりこのハイマースの脅威はゲームチェンジャーと言われまして、ここが戦況を変えているというふうにも言われております。
ナポレオン~ナチスドイツ時代と違う「新たな冬将軍」とは

―――佐々木先生によりますとプーチン大統領の思惑は、自国に攻め込んでくるナポレオン、ナチスドイツをはねのけた「ロシアの冬将軍」ということも考えているのではないかということです。ロシアの厳しい冬に耐え切れず、戦線を撤退したという過去にこういう歴史があったと。この冬というのが一つ大きなポイントになるんじゃないかということです。
はい。ゼレンスキー大統領もヨーロッパ側に対して「冬までに戦争を終わらしたい」ということを言っている、この背景に私はその言葉を発した時点から、この冬将軍っていうのがあったのかなというふうに思っておりました。冬将軍によって補給線が耐えられず、諸説あるんですけども、このナポレオン軍もナチスドイツ軍も撤退した。今回冬将軍が訪れるのはウクライナ・ロシアではなくて、ヨーロッパの各家庭です。つまりインフレを引き起こして、エネルギーが高くなって、もしくはエネルギー高騰に伴う物価高が続いて、例えばイギリスとかでもエネルギー価格5倍になるというふうにも言われております。インフレも10%~12%とも言われております。それによって「ゼレンスキー疲れ」を引き起こして、ウクライナへ支援することを阻むような戦略を練るんじゃないか。それがこの冬、「新たな冬将軍到来」として起こるんではないかなというふうに考えております。
―――ロシア国内のお話ですけども、こんな事件がありました、プーチン大統領に近いとされる思想家の娘が爆殺されるという事件です。