夫婦ガエルの置物に込めた思い
——今回、現場に隠された遊び心のあるデザインやアイテム、それに込めたメッセージなどがあれば教えてください。
一つは、議員会館の執務室で清家の執務デスクがあるのですが、その後ろにマトリョーシカが置いてあって、額が飾ってあります。その壁に何を飾るかとなった時に、清家は愛媛県出身という設定なので、何かキーワードになるような背景があるといいなと思い、愛媛の工芸品などを調べました。
その中で、桜井漆器という独自の技法がある伝統的な漆器が検索でヒットしたので、「これを選ぶしかない」と思い、すぐに地元の漆器屋さんに連絡させていただきました。飾ってある額には、赤い日の光に照らされた雄大な赤富士が描かれているのですが、絵画ではなくて漆器でできているので、大ぶりではないもののすごく質感があって、品も重厚感もあるんです。富士山の絵は赤富士も含めたくさんあるのですが、漆器の作品があるというのは、知らない方も多いと思います。
あとは、道上でいうと、道上は自分の仕事の都合で離婚という形を取っているのですが、希望としては、最後に息子さんと旦那さんに戻ってきてほしいという気持ちを込めて、夫婦ガエルを部屋に飾っています。カエルは縁起物とも言われていて、無事に帰る、物事が生還する、飛躍するなどの意味があるといいます。最終話までの、今後の道上の生き様に思いを込めて、幸せになってほしいので、夫婦ガエルを飾りました。
——撮影セットに立たれたときの役者陣の印象的なエピソードや反応があれば、教えてください。
普段過ごす自分の部屋や生活の場で、いろいろ触ったり、これかわいいですね、というような反応は頂きますね。
今回は、道上のセリフで「マトリョーシカが清家さんの笑っているところに似ていますよね」というシーンもあるので、一度試作で、本気で櫻井さんに似せた顔のマトリョーシカを描いていて、それを監督にもお話して作りました。ただ、ちょっと漫画っぽいというか、遊び心がありすぎるので、実際にはロシアのデザイナーが描いたマトリョーシカを購入して現場で使っています。
試作品は、櫻井さんが現場に入られた時に見せたら、とても気に入ってくださり、ご自身で持って帰られました。