時間外労働規制が拍車
さらに追い打ちをかけているのが、今年4月に始まった時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」です。法律の改正などにより、バス運転手の時間外労働時間に上限が設けられたほか、1日の運転時間や拘束時間、次の勤務までの休息期間についても、制限が強化されました。このまま運転手不足が続けば、路線バスのさらなる減便や廃止からは逃れられません。
河合部長
「運転手数に応じた路線の見直しと、乗客の利便性の向上という、矛盾したようなことを、2つを同時に考えながら運行計画を考えていくと。なかなか難しい状況にあろうかと思っています。従来どおり、いつまでもバスがあるとは限らないのが今、現状かなと思ってます」
人手不足に加え、収支面でも厳しい状況が続いています。防長バスによると、現状、路線バスだけで利益を上げることはほぼ不可能だそうです。自治体の補助金などを活用してなんとか走り続けている状況だといいます。
交通弱者の移動手段どう守る?
「いつまでもバスがあるとは限らない」。一方で、子どもや高齢者など、自分で移動手段を持たないいわゆる「交通弱者」にとって、バスは、なくてはならないものでもあります。
現在61歳の山本さん。自身に重ね合わせて、バスの大事さを感じています。

山本さん
「子どもさんがおられる以上、そういった交通弱者の足でありたい。で、自分らも年齢が年齢ですから、いつかは免許返納の時を考えれば、自分も含めて、バスっていうのはあってほしいなと。今と同じように皆さんの足であるという将来であってほしいなと思いますね」
バスが「地域の足」であり続けるために。公共交通の「これから」はバス会社や行政だけでなく、私たち自身も考えるべき時が来ています。
県交通政策課によると、県内の路線バスの運転手は727人いますが、そのうち、30歳以下はわずか11人。割合にするとおよそ1.5%。このままだと本当に私たちの生活からバスがなくなってしまう日が来るかもしれません。「あって当たり前」ではなく、地域全体でバスなどの公共交通をどう守っていくか、考えていきたいですね。