地方行脚にこだわる候補も...「全国政党化」に必要なのは?

まずは届け出順一位の足立康史氏の主張だ。足立氏は、地方議員団の意見が反映される「地方重視」を掲げ、自身も代表選の告示日に熊本へ飛び、その後、岡山や北海道などを回った。遊説先でも「党員に声をかけられた」と語る足立氏だが、維新の地方議員の北限は北海道・千歳市議で南限は熊本・菊陽町議だといい「全国政党とは名ばかりで、惨憺たる状況」だと訴える。特に基礎自治体の議員には『人、モノ、金』が必要であり、地方重視の「制度化」を目指す。

推薦人に306人が名を連ね本命視される馬場伸幸氏は、2023年の統一地方選挙で600議席、次期衆院選での野党第一党を目標に掲げ、地方組織強化のための予算と人材配置を訴える。街頭演説について「誰もいないところでしゃべるのは慣れている」と笑ってみせたが、「別に代表選のためだけに、街頭演説をやっているのではない」と冷静に語った。自身も、北陸などの地方を回る計画を立てていて「開かれた政党をアピールする絶好の機会」だとして、地方でも草の根運動を展開したいとしている。

唯一の女性候補、梅村みずほ氏。この日「ツーショット写真」を撮るため支援者が順番待ちの列をなしていたのには驚いたが、実は自身の推薦人の選挙応援のために香川県に入ったばかりだ。この日の演説では、党勢拡大のために「サイバー上のコミュニティを立ち上げたい」と話す一方で「リアルでその土地の地方議員を集めて座談会を行う。それを各地でやって維新の輪を広げていきたい」と話すなど、全国政党化のための『リアルとサイバーのハイブリッド戦略』を訴えた。
「一発勝負」の代表選
目の前に「党員がいても、いなくても」も全国で代表選の活動を展開する経験が、今後の地方選挙や国政選挙での足場となり「党勢拡大」につながるとの"維新の戦略"が見えてくる。一方で「党員ゼロ」の地域もあり、実際に全国に根を生やしていくには、相当地道な活動が必要になるのは想像に難くない。
代表選の投開票は8月27日。投票は1回のみで、最多得票者が新代表になるまさに「一発勝負」となる。議員と同等の一票を持つ「一般党員」の動向がカギを握るのは言うまでもないが、維新の幹部は最近こう漏らしている「本当に、何が起こるかわからない」。
毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇














