「これ以上の対策は思いつかない」

坂本一規隊長「表と見送りに分かれて、前さばき中心に勉強会を始めていきたいと思いますので、よろしくお願いします」

山笠が動き出す流れ舁きを控えた7月7日、舁き手を集めての勉強会を開きました。

指導役「なんで事故が起きるかと言うと、山笠が落ちよる(下がる)からよ。だから、自分たちの棒だけではなくて横もみてほしい」

ベテランの舁き手たちが具体的に安全な舁き方や、緊急時の対応を指導します。

指導役「ピーッて鳴ったら、巻かれた(巻き込まれた)状態。そうなったら表の舁き手は台を落とさず(地面に下ろさず)止まってください」

坂本一規隊長「一回、笛吹いてみようか」

指導役「吹きます」(ピー!)「下ろしていいという指示が隊長からあるまでは、このままの状態でいてください」

坂本一規隊長「下せ!一回仕切り直していいけん、焦らんでいい」

坂本一規隊長「(笛を吹いてから)何メートル止まらないのか、想定はしています。これ以上の対策は今のところ思いつかないので、万全だと思います」

突然の笛…緊急停止した山笠

7月10日、初めての「流舁き」。威勢のよさが自慢の千代流は、勢いよく町内を駆け抜けていきます。そこに…。

(ピー!)「止めろ、止めろ!」

坂本さんは事前に知らせないまま笛を吹いて、山笠を止めてみたのです。その後も、舁き手に目線を上げるよう声をかけたり、山笠が危険な態勢になる前に速度を緩めるよう指示したりしました。

坂本一規隊長「今日で安全対策の『止まるんだ』というのは舁き手に示せたと思うので、従来通りの男の走り、千代流の走りは絶対できると思うので、精一杯いきたいと思います」