惹かれあって結ばれた一組のカップルが、ある《行政手続き》をきっかけに注目を集めている。オーバーオールがトレードマークの三重県出身・松浦慶太さん39歳。分厚い体と優しい瞳が印象的な長崎県出身・藤山裕太郎さん39歳。2人はどちらも、体の性別は男性として生まれた同性カップルだ。

2024年5月、長崎県大村市は松浦さんを「世帯主」、藤山さんを「夫(未届)」と記載した《住民票》を交付した。事実婚のカップルに適用されてきた表記で、2人の希望に沿ったものだった。しかし交付から2か月後、国は記載について「実務上問題がある」とする見解を示した。

公的な書類でパートナーと認められたことに喜んでいた2人は国の見解に肩を落とし、住民票の記載が取り消されるのではないか、他の自治体にも影響が広がっていくのではないかと不安に心をかき乱される日々を送っている。

2人の住民票問題は、LGBTQを自認する人たちに対する行政の対応、その行く末を占うものとして注目を集めている。