例えばですが堕胎は考えなかった?―1度もないです。

続いて、検察官による質問が行われた。

検察官 Q交際や行き来が禁止されていたルールを破ることについては?
―先輩が監理団体などが脅かしているだけでそんなルールはないと。インターネットや新聞などを見ても。組合も信じなかった。

検察官 Q「妊娠したら帰国させられる」については信じていた?
―信じていました。

検察官 Q妊娠を両親に相談した?
―いいえ。

検察官 Qなぜ?
―心配をかけると不安だった。お金を稼げなくなると。

検察官 Q子供はどうするつもりだった?
―成長できるように食べたり飲んだりしていた。

検察官 Q育てるつもりだった?
―はい、そうです。

検察官 Q例えばですが堕胎は考えなかった?
―1度も考えたことはない。ひとつめの理由は私の子だからできない。ふたつめはキリスト教だから堕胎はできない。

検察官 Qどこで産むつもりだった?
―そこまで考えなかった。おなかが大きくなったらばれて帰国させられると思っていたからです。

検察官 Q妊娠発覚後、病院に行くつもりはなかった?
―行きたかったけど、お金がなくてどうしようもなかった。

検察官 Q誰かに相談することは?
―できなかった。技能実習生の先輩から病院に行きたければ監理団体・組合、通訳に連れて行ってもらうしかないと聞いていました。日本に来たばかりで借金がとても多く、言うことはできなかった。

検察官 Qどうしてごみ箱に遺体を入れた?
―何も考えることができず、目の前にはごみ箱しかなく、ごみ箱に入れました。

グエット被告は、「監理団体・組合と話して赤ちゃんを守ることができなくて申し訳ない」とも語った。

弁護人が「監理団体や組合に逆らってでも、子供を守るべきだったと思っている?」と尋ねると、はっきりとした口調で「はい、そうです。」と答えた。

「戻ってから埋葬する方法を見つけようと…」

8日の公判では、最後に裁判官が、病院に運ばれた後のことについて質問した。

これまでの公判での証言などによると、グエット被告は、血まみれで床に倒れていたところを交際相手の男性に発見され、病院に行っている。そしてそのまま入院し、警察に事情を聞かれ逮捕された。

裁判官 Q病院から交際相手の自宅へ戻ってくるつもりだった?
―はい。

裁判官 Q戻ってからどうするか考えていた?
―帰ることができたら、交際相手に説明したり謝ったり、他の人に相談したりして、赤ちゃんを埋葬するための方法を見つけようと思っていました。

グエット被告は時折涙ぐみながらも、終始はっきりとした口調で、およそ3時間にわたる公判を終えた。