ねじ曲がったプロペラ、その付け根部分に、「誉(ほまれ)」エンジンが収められている。
米軍機に劣らない高性能が期待され設計されたエンジンだったが、戦況の悪化にともない、想定する性能を発揮することはできなかったといわれる。
「エンジンは、トラス(骨組み)でくるんで、ロンジロンと結合されています。このエンジンと、エンジントラスの状態、それからロンジロンとの結合状態、この辺りを重点的に見ていきます」
◇◇現役退いた技術者の姿も
「ちょっと懸念があるのが、胴体ですね。見て頂ければ分かると思うんですが、腐食で透けて、向こう側が見えるというか、穴が開いているような状態なので、ほとんど外板として力を受け持たない状態となっているので、ここの部分をどう補強していくかというところを、今後、主に考えていくことになる」

作業には、現役を退いた技術者も参加していた。
新明和工業で飛行機の元生産部長を務めていた森吉考氏、そして1978年に紫電改が引き上げられたとき、自身の父親がその作業に携わっていたという協力会社の技術者の姿もあった。

今回行われる調査作業の概要などの説明を終えた郷田氏は、続いて行われた報道陣からの質問に回答した。

――紫電改の調査を行うにあたって現在の心境は
「この機体については我々の先輩たちが作り上げた、技術的な遺産だと考えていて、我々の会社としても、今回の仕事を頂いたことを通じて、技術をですね、先人から受け継いで、後世に残すというところに、非常に意義がある仕事だと感じていて、非常に光栄だと思っている」