大雨による災害の恐れを急激に高める「線状降水帯」とはどのようなものなのか。また、情報はどんな場合に出されるのかなどについてまとめました。
線状降水帯は一度発生するだけで200~300ミリぐらいの大雨に
夏になると、大雨が続く日も増えていきます。特に、近年は「線状降水帯」による被害が増えています。

そもそも積乱雲は、暖かく湿った空気が流れ込み、山にぶつかるなどして上昇流が起きると発生しやすくなります。積乱雲1つの寿命は約30分~1時間で、局地的に強い雨をもたらします。

これが線状降水帯となると、積乱雲は風に流されて進んでいきますが、同じ場所に継続して湿った空気が流れ込むことで、積乱雲ができ続けます。そうすると線のように連なって、長時間雨が降ることになります。一度線状降水帯が発生するだけで200~300ミリぐらいの大雨に繋がることが多いということです。そうなると、多くの被害をもたらす可能性があります。
線状降水帯発生情報は「今後、線状降水帯ができます」「被害が出ます」という予報情報ではなく、「線状降水帯がもうできています」「被害が起きる可能性が高いです」という時の実況情報です。
どこが一番安全なのかということを事前に考え、具体的に避難はどうしたらいいのか実行に移す必要があるかもしれません。
大雨についての情報が発表されたらどう行動する?
土砂災害警戒情報、警報などといった情報を発表するのは気象庁です。

▼線状降水帯発生情報
線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況
災害発生の危険度が急激に高まっており、警戒レベル4相当以上の状況で発表される
▼記録的短時間大雨情報
数年に一度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析した状況
土砂災害・浸水害・洪水災害の発生につながるような雨量であることを表す
気象庁の発表を受け、自治体が避難指示や緊急安全確保などを発表していきます。

<例>
警戒レベル1:早期注意情報
→最近の気象情報など確認
警戒レベル2:大雨注意報
→避難先・経路を確認
警戒レベル3相当:大雨警報・洪水警報
→高齢者等避難
警戒レベル4相当:土砂災害警戒情報、氾濫危険情報など
→避難指示(危険な場所から全員避難)
・・・レベル4までに必ず避難・・・
警戒レベル5相当:大雨特別警報・氾濫発生情報など
→緊急安全確保(命の危険 ただちに安全確保)
※すでに災害が発生している可能性が極めて高い
こういった情報が発表されたら、例えば避難指示が自治体から出ていなくても、急激に状況が悪化する恐れがあります。周りの状況を確認し、少しでも崖や沢から離れた建物や、少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、適切な避難行動をしてください。
避難行動は必ずしも避難所に向かうことだけではありません。もちろん大雨警報、大雨注意報ぐらいだと避難所が開設されていない場合もあります。

そういう場合は大雨で移動が困難な場合は、自宅や親戚、ご近所の家など、近くの頑丈な建物の2階以上に避難する。
また、近くに崖などがありますと土砂災害が起こる可能性がありますので、自宅の中でも2階、それから崖から離れた部屋にとどまる。
こういったことも避難行動のうちに入ります。その場その場で状況を判断して、命を守る行動をとってください。(※1)
※1 政府広報オンライン、国土交通省より