「洪水警報」や「土砂災害警戒情報」の名称はリストラ対象

図-3 そのままでは残らない方向の情報名

「危険警報」新設は見出しになりやすのでメディアの注目を浴びる一方、リストラ(整理・削減)対象となる情報名が多数あることはあまり取り上げられていない。

「土砂災害警報」(レベル3相当)と「土砂災害特別警報」(レベル5相当)との間に「土砂災害危険警報」(レベル4相当)を新設する方向が報告書で示されたが、それに伴い、現行の「土砂災害警戒情報」(レベル4相当)の名前が無くなることが確実視されている。

そのほか、「洪水警報」や「記録的短時間大雨情報」など、情報の意味はわからなくても一度は聞いたことがあるだろう情報名が消える方向だ(図-3)。
なかでも「洪水警報」は1953年前後に運用が開始された約70年の長い歴史を持つ情報で、「洪水警報」は無くなる方向だとあるベテランの気象予報士に伝えたら、絶句していた。

ただし、これらの情報名がそのままでは残らないというだけで、情報そのものが廃止されることを必ずしも意味していないことは強調しておきたい。むしろ、同じ意味を持つ情報が名前を変えて存続するケースがほとんどだ。

図-4 名称変更の方向性が示された情報名

大雨警報に、厳密には「大雨警報(浸水害)」と「大雨警報(土砂災害)」の2種類があることは、一般にはほとんど知られていないように思う。この点については、情報名の適否はさておき、明確に伝えてこなかったメディアの側にも一部責任があると感じている。

報告書では、現行の「大雨警報(浸水害)」と「大雨警報(土砂災害)」がそれぞれ「大雨警報」と「土砂災害警報」に、そして現行の「大雨特別警報(浸水害)」と「大雨特別警報(土砂災害)」がそれぞれ「大雨特別警報」と「土砂災害特別警報」に改められる方向性が示された(図-4)。

特に「土砂災害警報」と「土砂災害特別警報」については、情報に「土砂災害」の冠が付くことで、具体的に崖崩れや土石流、地すべりなどの発生する危険度が高まっていることがよりダイレクトに伝わるようになるのではないかと予想している。

一方、「大雨警報」と「大雨特別警報」は、大雨による浸水が発生する危険度の高まりを伝える情報へと性格が変わる。内水氾濫等おもに低い土地の浸水や比較的小さな河川の危険度の上昇が対象となる。