「危険警報」で意見は真っ二つに

情報名には、レベル3相当には「警報」を、レベル5相当には「特別警報」をそれぞれ充当する方向性が示された。一般市民を対象にしたアンケートからも「警報」と「特別警報」の名前は社会に定着していることがわかったため、採用にあたって検討会で委員から特に異論は出なかった。

一方、レベル4相当の情報名に「危険警報」という新しい言葉を採用するか、否か。このテーマをめぐって、委員の意見は真っ二つに割れた。

最終会合で、事務局は〈レベル3・4相当をいずれも「警報」〉とする案と、〈レベル3相当を「警報」、レベル4相当を「危険警報」〉とする案を提示した。ここで便宜上、前者をA案、後者をB案とさせてもらうと、「危険警報」新設をめぐる賛否は、事実上、A案とB案のどちらが適当かという選択になった。

結果的にB案が採用されたわけだが、B案を支持するおもな意見は「A案ではレベル3と4がどちらも『警報』となっていて、レベルの違いが伝わりづらいし、わかりにくい。レベルが違うのだから、情報の名称も違う方が良い」というものだった。
一方、A案を支持する意見は「『シンプルでわかりやすい』を目指す以上、むやみに新しい名前の情報をつくるべきではない」「たとえ情報名が同じでもレベル3か4が付記されるので、それでレベルの違いが伝われば良い」というものだった。
A案・B案それぞれを支持する委員の意見はほぼ半々で、多数決でどちらかに決められる状況ではなかった。

結局、最終判断を矢守座長と牛山素行副座長(静岡大学防災総合センター教授)に一任することになり、2人が事務局とも協議を重ねた結果、「危険警報」新設の方向性が決まった。

その理由として、

● 警戒レベルがまだ社会に十分浸透していない現在の状況では、レベルの違いが情報名でも明確に伝わるようにした方が良い。

● 現行の洪水に関する情報ではレベル4相当に「氾濫危険情報」が存在するほか、キキクル(危険度分布)においてもレベル4相当のキーワードは「危険」となっていて、それらがレベル4相当の情報名に「危険」という言葉を使う接点になる。

以上が挙げられている。

気象予報士の森朗氏は警報が軽視される可能性を指摘