一方で、上流で降った雨が千曲川に流れ込み、水位は遅れて上昇。

中野市の立ヶ花観測所では、午前3時20分ごろ、過去最高を記録しました。

長野市の長沼地区で、千曲川の水が堤防を乗り越えたのは午前1時過ぎ。

明け方には、堤防が決壊し、濁流が住宅などを襲いました。

台風が過ぎ去った後に、堤防を乗り越えた水の被害が広がっていったのです。

こうした事態を受けて、国が提唱し始めたのが、「流域治水」という考え方です。

洪水を防ぐための治水ダムや遊水地、堤防など、水害防止に特化した施設だけでなく、利水ダムや校庭、そして田んぼなども活用して、上流から下流まで、さまざまな方法を組み合わせた災害対策です。

「田んぼダム」はそのうちの一つです。


あくまで机上の計算ですが、県内の水田の面積は合わせて3万1,000ヘクタール。

ふだん5センチの水を張っている水田に20センチまで水を入れた場合、余分に貯められるのはおよそ4,600万トンと膨大な量になります。

その仕組みは、長野市の浅川ダムと同じで、いわば「小さな穴あきダム」といえるもの。

国が行った田んぼダムの実験では、集中豪雨の際に、下流に流す水の量を一定に保ち、そのピークをなだらかにすることができました。