発達障害バーで救われた人、チャンスを得た人

この日はコロナ禍前から「ブラッツ」に通っているという常連客の男性も居ました。このお客さん曰く過去に仕事でトラブルになったのは、いわゆる「報連相=報告・連絡・相談」という、コミュニケーションの部分でのすれ違いで、損害を出したり、仕事相手を困らせてしまったりとか。そんな彼にとって、この店に来ることが大きな救いになったと言います。

常連客の男性
「自分がこうしたことで直せたんじゃないかと、他の人の話も耳に入ってくるじゃないですか。どうしても少数派なんで、あまりその話ができないっていうのがデカいんですけど、ここに来ると、こういう人が一定数いるんだと実感できるんで…」

「ブラッツ」は、似たような悩みを抱えた人と話せる、貴重な場というわけです。そして、マスターの光武さんが当事者なのも、やはり大きな安心感なんです。

さてその光武さんは、元は塾の講師などしていたんですが、その後には、この店で出会った方など、発達障害のある方の就労や転職などに関わる業務などを行っていました。そんな中で、発達障害故の特性を活かして、その本人にピッタリな転職ができた例を紹介してもらいました。

発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」オーナー 光武克さん
「ひとつのものに集中するからこそ、その物事の構造から理解しないと、まったく応用がきかないタイプの人だったので、その仕組みを理解するってことが得意なのであれば、その仕組みそのものを設計するような、プログラミングのスキルさえ身に付ければ、そっちで大成出来るんじゃないですかと、未経験ながらSEとして転職して、それで今もう入社して半年かな。成果を出されている方とかいらっしゃいます」

その方は、往々にして行き過ぎるほどの集中力を活かして、システムエンジニアとして成功したわけです。

光武さんの目指すところ

光武さんは現在限定された日程で「ブラッツ」を運営していますが、今後はもっとこちらに時間を割けるようにして、就労に関するコンサルティング、人材紹介も絡めたビジネスなどを、本格的にやってみたいと考えています。またこんなこともやれたらと構想しています。

発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」オーナー 光武克さん
「働くこと以外にも、困難って多分沢山あると思うんですよね。例えば結婚だとか、どうやったら交友関係は広がっていくのかとかも、そうですよね。こうしたものをうまく、カバーできるような空間とかになった時には、例えばイベントとして、別ブランドを立ち上げるとか…」

発達障害バー「ブラッツ」は、現在は月に1~2回ペースのオープンです。開催日など詳しい情報は、ホームページなどをご覧下さい。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家))